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おすすめシネマ/2017年11月07日 08:03
『密偵』 列車内の空間を生かしたサスペンスに感服
(C)2016 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
 

 シュワルツェネッガー主演の『ラストスタンド』でハリウッドに進出したキム・ジウンが、韓国に戻って撮った新作だ。満州を舞台にした西部劇『グッド・バッド・ウィアード』の変奏=スパイ映画版と呼びたくなる内容で、ソン・ガンホとイ・ビョンホンが再登場し、チョン・ウソンに代わって同系統のイケメン俳優コン・ユが活躍する。

 日本統治下の1920年代を背景に、独立運動団体・義烈(ウィヨル)団とそれを追う日本警察の攻防がスリリングに描かれる。主人公は朝鮮人ながら日本警察に所属する男で、ソン・ガンホが諜報戦の中心にいるにもかかわらず、むしろ巻き込まれていくという難役を見事に、唯一無二の魅力で体現している。

 そして、今回もやはり、列車が重要な見せ場の舞台となっている。ここでの義烈団vs.日本警察、その間で右往左往する主人公による、列車内の空間構造を生かしたサスペンスの積み上げ方には、「さすがキム・ジウン!」とうならされる。彼の演出は、常に映画表現と密接に結び付いていて、列車以外でも、例えば銃声とともに壁に無数の穴が開き、暗い小屋の中に幾重もの光が差し込むシーンでの光と音の使い方などは、決して大作ゆえの特権的なものではなく、まさに映画としての面白さを追求した創意工夫のたまもの。全編にわたり、キム・ジウンのこだわりとセンスが冴える必見作だ! ★★★★★(外山真也)

監督:キム・ジウン

出演:ソン・ガンホ、コン・ユ、鶴見辰吾、イ・ビョンホン

11月11日(土)から全国公開