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おすすめシネマ/2017年12月26日 08:02
『ジャコメッティ 最後の肖像』 苦悩して悶絶する天才に思わず吹き出すアートコメディ
(C)Final Portrait Commissioning Limited 2016
 

 著名な芸術家のジャコメッティが最後に手掛けた肖像画のモデルを務めた美術評論家のジェイムズ・ロードの回顧録を、映画『プラダを着た悪魔』に出演している有名な個性派監督スタンリー・トゥッチが脚本・監督を務めて映画化した作品です。小難しい伝記映画じゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、美術に全く明るくない私も楽しめたのでご安心を!

 ある日、美術評論家のジェイムズはジャコメッティから「2日で終わるから!」と言われてモデルをすることに。が、実際は18日もの間、創作活動が終わらない。地獄のような日々の中、天才がいかに深くて面白く、魅力的な奇人かということが名優ジェフリー・ラッシュの素晴らしい演技で伝わってきます。

 絵を描くのに集中していたかと思ったら、すぐに「くそったれ〜!」「もうダメだ!」「やめる!」と叫び、ふと気を取り直して描き始める。そんな姿に思わず吹き出すジェイムズの気持ちがこちらにも伝わってくるように、何度もクスクス笑いが止まらなくなりました。映画館があまりにも静かなため、ジャコメッティが絵を描いているときは静かにしているのですが、いつ「くそったれ〜!」が来るかと思うと、まるでお葬式で笑い出したら止まらなくなるような申し訳なさの中、吹き出してしまう。鑑賞後は以前よりもずっと彼に興味が湧いて、ジャコメッティが作った彫刻を貪るように探しました。★★★★★(森田真帆)

監督・脚本:スタンリー・トゥッチ

出演:ジェフリー・ラッシュ、アーミー・ハマー

1月5日(金)から全国順次公開