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音楽玉手箱/2017年11月08日 08:01
<隠れた名盤> 辛島美登里『Cashmere』 タイトル通りの気持ち良さ
辛島美登里『Cashmere』
 

 キャリア初となるアコースティック・カバー集。歌声も演奏も暖かく包みこむようで、あまりの気持ち良さに、そのまま眠りそうなほど(タイトルが秀逸!)。勿論、退屈という意味ではない。

 セルフカバー4曲をはじめ全12曲、ピアノのみ、ギターのみ、あるいはピアノ+チェロというシンプルな演奏に、辛島がピアニシモな歌声を乗せるというとても繊細な企画。原曲は伸びやかな歌声の『サイレント・イヴ』も、ここでは自分の心と穏やかに向き合うように聴こえる。

 どれも美しい歌声で、特に『Woman“Wの悲劇”より』に感動。薬師丸版は、映画のラストシーンのようにドラマティックに絶唱するのに対し、辛島版は、そっと別れていく二人が印象的に映る。

 他にも久保田早紀のファド『ギター弾きを見ませんか』や、本格デビュー前の自作曲『雨の日』など、様々な柔らかな情景に出会うことが出来る。本作を聴けば、何かを足すことよりも、いま持っている中で、何が大切かが見えてくるはず。

(ユニバーサル・2778円+税)=臼井孝