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音楽玉手箱/2017年12月20日 08:01
<隠れた名盤> 三波春夫 ハルオロイド・ミナミ『全曲集』 朗らかな歌声やビブラートを予想以上に再現
三波春夫 ハルオロイド・ミナミ『全曲集』
 

 三波春夫(disc1)と、名古屋工大の開発により誕生した三波版ボーカロイド「ハルオロイド・ミナミ」(disc2)の合同ベスト。まずはdisc2から試聴した。

 ハルオロイド版は、三波の朗らかな歌声や、繊細なビブラートが予想以上に再現されている。音階が急変した際に、やや歪んだ電子音が聴こえるが、演出効果と思えばさほど気にならない。三波の持ち味であるロングトーンは実に清らかで、ちょっと感動した。

 そのハルオロイドが、『海の声』や『ひまわりの約束』など本家逝去後のヒット曲や、英語版『世界の国からこんにちは』を難なく歌うから驚きだ。ただ、あくまでも「難なく」であり、次第に、より緩急のついた本家版も恋しくなる。

 その後、disc1を聴くと、一気に開放的な気分に。『大利根無情』や『一本刀土俵入り』といった台詞入りの難曲が三波版のみ収録されており、彼の偉大さを再認識できる。これも、ハルオロイドのお蔭だ。

 本作を聴けば、機械と人間、知性と感性、江戸っ子と関西人などの二項を対立させずに、共存する方向をより見出せるはず。

(テイチク・3241円+税)=臼井孝