人、川が織り成す物語
中山道散策(瑞穂市)
瑞穂市美江寺地区には、江戸時代に中山道の56番目の小規模な宿場「美江寺宿」があった。同地区には多くの川が流れ、たびたび起きる水害に、通行人が足止めされることが多かったことから、設置されたといわれている。同市には今も、中山道にまつわる史跡が残されている。
市内の中山道は、東は同市生津地区から、美江寺宿を折れて西南へ走り、揖斐川を渡って、安八郡神戸町境にある同市呂久地区に抜ける延長6・7キロ。
同地区には、719(養老3)年に当時の元正天皇の勅願寺院「美江寺」が創建され、十一面観世音菩薩立像が置かれた。その後、立像は斎藤道三によって岐阜に移され、また濃尾大地震で建物は倒壊。今は、その後に建てられた美江寺観世音が美江寺神社に隣接して残っている。
美江寺宿は同神社を曲がり角にしてL字型に広がり、本陣や旅篭(はたご)、茶屋があったといわれる。明治時代に入って宿駅制は廃止され、今では本陣跡や一里塚がひっそりと残っているのみ。近くの中小学校には、室町時代から戦国時代に地元に拠点を置いた和田氏の美江寺城跡も残っている。
美江寺宿跡から足を延ばして揖斐川を渡ると、同市呂久地区に「小簾紅園」がある。ここには、14代将軍徳川家茂に嫁ぐため皇女和宮が中山道で江戸に向かう途中、揖斐川を渡ったときに詠んだ歌が石碑に刻まれている。今でも、当時の行列を再現する美江寺宿場まつりが毎年5月に行われ、皇女和宮をしのぶ同園の例祭が春と秋に行われるなど、地域ぐるみで歴史と伝統を守っている。
歴史と人、川が織り成す物語に触れてみるのもおもしろい。
▽交通 美江寺宿までは、樽見鉄道美江寺駅から西に徒歩数分。小簾紅園までは、車で揖斐川の鷺田橋を右岸に渡って数分▽問い合わせ 瑞穂市巣南庁舎産業経済課、電話058(328)7202。

地名の由来ともなった「美江寺」があったことを今に伝える美江寺観世音=瑞穂市美江寺

皇女和宮が詠んだ歌が残されている小簾紅園=同市呂久
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