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ぎふ海流 第3章 断ち切られた川

2010年 2月22日(月)

徳山ダム 山林の公有地化

売却交渉が進まず荒廃

写真:徳山ダム 山林の公有地化
しろびや杉の根元で揖斐川上下流の連携に理解を深める小学生ら=揖斐郡揖斐川町、徳山ダムの本郷望郷広場

 揖斐郡揖斐川町の徳山ダムの旧本郷地区には、旧徳山村民が故郷をしのぶ本郷望郷広場があり、近くには樹齢500年を数える巨木しろびや杉がそびえる。

 しろびや杉は、揖斐川上下流域の住民が徳山ダム周辺の広大な森林の保全について学ぶシンボルとして活用されている。昨年10月に見学に訪れた三重県桑名市の児童らは、その威容に驚き、「山や川をきれいにしたい」との感想を語った。

 徳山ダム周辺に広がる森林の広さは約254平方キロ。自然保全と水質確保を目的に、県が民有地約177平方キロを取得し、揖斐川町が管理を担当する公有地化事業が2006年から進められている。

 同事業は、旧徳山村民の全村移転に伴う山の荒廃といった防災上の理由から、水資源機構と県、揖斐川町の3者が05年10月に実施を決定した。09年12月現在、県の民有地取得率は75・81%となっている。

 民有地の中でも、ダム湖への土砂流入を防ぐ湖面際の樹林帯(2・64平方キロ)の取得は急務だが、樹林帯の用地交渉を担う水資源機構によると、取得率は約75%にとどまっている。取得が完全に済んでいないため、管理を担う揖斐川町は、作業道のルート選定すらできない状態だ。

 なぜ、地権者が売却に応じないのか―。元徳山村民で本巣市長屋の宮川静雄さん(75)は「複数名義での所有やダム事業に反対しているといった個々の理由はあるだろうが、国に約束をほごにされたのが大きな原因だ」と行政への不信感をあらわにする。

 水資源機構は、徳山ダム建設に際して、旧徳山村に行き来できる道路の建設を村民らに約束していたが、公有地化事業の実施を理由に道路建設を取りやめた経緯がある。

 宮川さんは「荒廃した山を見ると胸が締め付けられる。事業の意義は理解しつつも、やはり応じられない」とやりきれない思いを抱えている。

(ぎふ海流取材班)

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