ふるさとへの便り

上海の人口構成

急激に進む高齢化 どう対処?注目集まる
写真:高齢者のために設置が進む敬老院(老人ホーム)=上海市

高齢者のために設置が進む敬老院(老人ホーム)=上海市

 4月18日、上海市民生局は2010年末の上海市戸籍人口(上海市に戸籍が登録されている人の数)が1412万人、このうち老年人口(65歳以上)は331万人(上海市戸籍総人口の23・4%)となり、3人で1人の老人を養う水準に近付きつつあると発表しました。

 この数値は、中国全体の数値12・5%(2009年)を大きく上回っています。また、平均寿命は81・73歳に達しており、今後、老年人口は毎年20万人強増加し続け、2015年には430万人を超え、上海市戸籍総人口の30%弱になると予測されています。

 上海市を訪れたことがある方は「若い人がたくさんいて活気がある街だ」と思われた方も多いのではないかと思うのですが、実は、上海市は1979年に老年人口比率が10・7%となり、高齢化社会に突入しています。

 その後、その比率は一貫して上昇してきましたが、これまでは比較的緩やかなものでしたので、この5年間は生産年齢人口(15歳から64歳まで)が、幼年人口(14歳以下)および老年人口(65歳以上)の2倍以上になる“人口ボーナス”の時期にあり、加速する経済発展の恩恵を受けることができました。

 しかし、今後は高齢化が加速していきます。全国に先駆けて実施した“一人っ子政策”と経済発展に伴う住宅や教育負担の増加による少産化で、今後5年間の老年人口の比率は6ポイント以上の上昇(過去5年間は3・34ポイントの上昇)が見込まれています。

 上海市計画出生委員会が2009年に18〜30歳の上海市民を対象に行ったサンプル調査では、産みたい子供の人数は1・07人と極めて低水準にありますので、自然増は期待できず、何らかの対策を講じなければ経済発展を維持できなくなっています。

 そこで、上海市は労働人口を増やすべく、例えば“農民工”(農村出身の出稼ぎ労働者)のために住宅を格安で提供したり、その子女の公立学校への入学を認めるようになりました。このように上海市以外に戸籍がある人達は“流動人口”と呼ばれ、2010年末には800万人を超え、上海市の経済発展の重要な担い手となっています。

 “上海の今日は中国の明日”と言われるほど、上海市の動向は中国の将来を占う上で重要です。上海市が高齢化社会にどう対処するか、過去は日本や欧米先進国の経験を学び取り入れてきましたが、今後は上海市がどの国も経験したことがない急激な高齢化を迎え、“高齢化社会先進地域”として注目を集めることになりそうです。

【土田隆志さん】
写真:土田隆志さん
つちだ・たかし 2010年3月から県上海駐在員。主な業務は観光PR、県内企業支援、岐阜県人会開催など。岐阜市出身。44歳。

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