ふるさとへの便り

理数科指導に情熱、論理的思考能力伸ばす

マラウイへ教員派遣
写真:教員研修会での一こま。研修内容について補足説明する様子=マラウイ・チンゴンベ

教員研修会での一こま。研修内容について補足説明する様子=マラウイ・チンゴンベ

 ぎゅうぎゅう詰めのミニバスに揺られること10分、「チケナオ、パチコンゴニチャエアテル(あの看板のところで降ろして)」。現地語で運転手に伝える。

 幹線道路から歩いて2分、トウモロコシ畑を抜けると見えてくるレンガ造りの小さな校舎、そこが私の教えるチンゴンベ中高等学校である。日本の中学3年生から高校3年生まで全校生徒約220人、1クラス約50〜80人。基本的に机、教科書は無い。典型的なマラウイの学校だ。ここで2、4年生に数学と物理化学を教えている。

 この2学年は私が赴任した時から教えている学年。初めの頃は生徒の指導や彼らの英語をとらえるのに苦労したが、最近では冗談などを交えながらメリハリのある授業ができるようになってきた。

 基本的に生徒は教科書を持っていない。そのため、マラウイの生徒はひたすら黒板をノートに写すことに時間を費やす。日本の子供に比べ、圧倒的に考える時間、そして論理的思考能力に弱みがある。それ故、理科とりわけ数学と物理化学は生徒の苦手とするところである。

 そこで力を入れているのは、論理的思考能力を伸ばすこと、そして、実物、現象、日常生活への応用に焦点を当てることだ。「なぜ」そうなるのか、「根拠」は何かを質問に組み入れ考えさせる、実験を多くし、科学の面白さに触れる機会を多くした。

 活動はただ生徒に教えることだけではない。同僚や地域内の理数科教師のスキルアップも活動の一つだ。マラウイの中高等学校で正規教員は半数に満たない。半数以上が小学校の教員免許しか持っていない教員である。そのため、同じ地域内の教師が集まり定期的に教員研修会が開かれる。

 同じ地域に派遣されている隊員とともに、教員研修会のサポートをしてきた。時には研修会での内容を議論するために、ファシリテーターのもとを訪れたり、他の理数科教師の授業を参観し、授業内容について議論したりもしている。

 地域内教師の交流を活性化するために、サイエンスフェアや共通国家試験模試などを企画、実施もしてきた。情報交換やモチベーションの維持を促すのが目的だ。全てを私たちがやるのではなく、継続性を意識し、実施はあくまで現地教員たち。私たちは黒子となりサポートに回っている。

 成果は目に見えにくい。しかし、私たちがまいた種が何十年後かに花咲くことを期待し、残りの期間、子供たち教師たちをサポートしていきたいと思う。

【内田充洋さん】
写真:内田充洋さん
うちだ・みつひろ 不破郡垂井町の素材メーカー開発部門で3年間の勤務した後、現職参加制度を利用し2010年9月より青年海外協力隊、理数科教師としてマラウイに派遣。28歳。

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