ふるさとへの便り

上海の市場

日本への期待高く 岐阜の企業も積極進出
写真:日進木工ショールームの様子=中国・上海市

日進木工ショールームの様子=中国・上海市

 日本の経済成長が鈍化して久しい中、日本企業が海外で苦戦している内容の報道や記事をよく見かけます。しかし、中国・上海では依然として日本に対する期待は高く、注目度はむしろ高まっているようにさえ感じられます。

 例えば、中国・華東地区(上海市、江蘇省、浙江省)における外国企業誘致。この地区は早くから積極的に誘致活動を行ってきたため、国家級工業団地などの余剰地が少なくなり、今では「中小企業は歓迎されない」と言う声も聞かれます。しかし、一方で、無錫市や常州市にある開発地区では、今まさに「日本の中小企業に来てもらいたい」と積極的です。

 常州市の企業誘致責任者に聞いたところ、「欧米諸国からの投資が見込めない状況の中で、日本は原発事故を契機に工場立地の見直し機運があり、円高も対外投資を増長させるので、中国への投資を増やす余地がある。ただし、大企業を誘致したくても競争が厳しいので、日本の中小企業をターゲットにする」のだそうです。

 また、日本が注目されているのは、企業誘致だけではありません。上海は、既に成熟市場になったと言われ、各方面で競争が激しく、企業は差別化をしないと生き残ることが難しくなっていますが、それゆえに日本のモノや文化が注目されています。岐阜県の企業が関わる事例があるので、紹介します。

 チューキョー(岐阜市)が資本参加している、上海市宝山区に設ける「ジャパンタウン」は、郊外型の立地であるため、単なるショッピングモールでは広範な集客が見込めない。そこで、「今の日本に触れて感じる街」をコンセプトに開発を進め、日本の魅力で集客を図ろうとしています。

 また、先月、日進木工(高山市)のショールームが上海市長寧区の高級輸入家具モール内に開店しました。高級輸入家具と言えばヨーロッパ製とされる中国で、同モール内に初めて日本の家具が出店されました。

 作り込みが得意な日本企業あるいは日本製品は、成熟市場でこそ本来の力を発揮できるのかもしれません。成熟化に向かう中国巨大市場で、注目される日本。県内企業の活躍の場も広がるのではないかと期待しています。

【土田隆志さん】
写真:土田隆志さん
つちだ・たかし 2010年3月から県上海駐在員。主な業務は観光PR、県内企業支援、岐阜県人会開催など。岐阜市出身、46歳。

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