ふるさとへの便り

変化する香港

街中に大型店続々 昔ながらの店は郊外へ
写真:昔ながらの香港の店に替わって、海外資本のコーヒーショップに=香港

昔ながらの香港の店に替わって、海外資本のコーヒーショップに=香港

 香港は中国と英国の文化が融合、また、新旧入り混じった街並みが特徴的です。オープントップバス(観光用屋根無し2階建てバス)に乗って街を走りぬけるとその雰囲気をじかに感じていただけると思います。

 しかし、最近こうした街並みが小奇麗になったと感じる一方、面白みが無くなってきた印象を受けます。その要因は、街中にあったバラエティーに富んだ昔ながらの果物屋、揚げ物屋、レストラン等の店が、大規模レストランチェーン店や海外資本の店、ショッピングモールに変化してきているからだと考えられます。

 外資系レストランや衣料店は、香港人以上に、特に中国本土の観光客をターゲットとしており、最近そうした店の多店舗化が本格化しています。出店エリアは、観光客の多い繁華街へのニーズが必然的に強くなり、その結果、家賃が高騰、結果として香港の昔ながらの店が繁華街から追いやられてしまっているのです。また、最新のショッピングモール内は中国本土の観光客が目当てとするブランド店や化粧品店がこぞって集まるので、どこへ行っても同じような店構えばかりが目につきます。

 現在、香港の経済は中国本土の観光客からの消費によって支えられています。従って、ターゲットを中国本土の観光客に合わせた店舗展開が必要となり、中国本土の観光客にとっては利便性が高まる一方、香港人にとっては、これまで自分たちが暮らしてきた街並みが模様替えされることで、その魅力が薄れてきていると感じているようです。

 さて、繁華街から追いやられた香港の店はどこへ行ったのでしょうか? レストランであれば腕利きシェフが独立し、家賃の安いビルの一室で完全予約制レストランを経営していたり、郊外で質の高いサービスを提供していたりと、観光客が知らないような場所でたくましく生き延びております。

 特に香港の若者たちにとっては、ソーシャルネットワークを駆使し隠れ家的な存在の店を見つけ、友人等をサプライズさせることも一つの楽しみとなっています。繁華街を闊歩(かっぽ)する中国本土の観光客を尻目に、リーズナブルで質の高いサービスをしっかりと享受しているのです。こうした場所を見つけ出し赴いてみるのも新しい香港の楽しみ方ではないでしょうか。

【臼井英樹さん】
写真:臼井英樹さん
うすい・ひでき 大垣共立銀行香港駐在員事務所長。大垣市出身、1990年同行入行。同行ニューヨーク駐在員事務所、市場金融部を経て2010年9月から香港駐在員事務所で取引先の海外進出支援等担当。

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