ふるさとへの便り

ブータン

向上心は強くなく 「足るを知る」仏教が関係
写真:3年生の体育授業の様子=ブータン

3年生の体育授業の様子=ブータン

 クズザンポーラ(こんにちは)。私が住む街ティンプーは標高2400メートルの高さにあります。朝晩は冷え、日中は暖かいという山岳地帯の気候です。今の時期、この街も日本と同様に日に日に寒さが厳しくなってきています。

 私は、首都ティンプーの街はずれにある学校で、体育を教えています。この国で、体育科が授業科目と正式に認定されたのが2000年になってからですが、まだまだ適切に授業がなされているとはいえない状況が続いています。そのため、子どもたちにとっては、体育の授業を適切に受けるのは私が派遣された今年が初めてです。そのような状況の中で、暗中模索しながら暮らしています。

 私の所属するデチェンチョリン小中学校には、プレ・プライマリーと呼ばれる幼稚園の年長から10年生(日本の高校1年生)までの子どもたち、総勢約1900名が通っており、教師は、90名程在籍しています。

 ブータンの人たちは制服、正装として、この写真のような衣装を着ます。男性のものは“ゴ”、女性のものは“キラ”と呼ばれています。授業は国語のゾンカ語の時間を除き、全て英語でなされます。そのため、4年生以上の多くの子どもが英語で問題なくコミュニケーションをとることができます。

 写真を見ても分かるように、われわれ日本人とブータン人は顔がそっくりです。子どもを見ていると、身体的特徴はもちろん、彼らの言動や、やりとりも日本の子どもと大きく変わりません。男の子は、スポーツやテレビゲームが好きだったり、髪形に気を使ったりしますし、女の子は、おしゃれに気を使ったり、アイドルのファンであったりします。

 しかし、やはり環境が違うので、相違点もいくつか見られます。年配者や教師に対する尊敬の念が強く、また家族や親戚とのつながりを大切にする気持ちは日本よりも高く感じられます。

 そして、特に私が大きく感じる相違点は、日本の子どもと比べると、「向上心」というものがあまり強くないところです。これは、仏教の教えである「足るを知る」という考えに関わっています。スポーツをやっていても、上達したい、他人よりうまくなりたいという気持ちよりも、みんなでその場を楽しみたいという気持ちが強いようです。この環境は今まで当たり前に良いことだと思っていた事に疑問を投げかけてくれています。

【山根大典さん】
写真:山根大典さん
やまね・だいすけ 大学を卒業後、2011年9月より青年海外協力隊としてブータン王国に派遣。デチェンチョリン小中学校で小学校教諭として活動中。可児市出身。24歳。

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