ふるさとへの便り

マラウイ

有機物で堆肥作り 野菜栽培、ゼロから出発
写真:おかずには欠かせない葉野菜の収穫作業=マラウイ、ゾンバ県ナマジ

おかずには欠かせない葉野菜の収穫作業=マラウイ、ゾンバ県ナマジ

 乗合バスを降り、自転車タクシーに揺られること30分。その間、目の前に広がる赤茶けた大地と一面に広がったメイズ畑(トウモロコシ畑)を楽しむ余裕はない。未舗装道路の穴をよけるため、右に左にハンドルを切る運転手にしがみつくので精いっぱい。懸命に坂を上る運転手の赤土で汚れたTシャツの汗の匂いをかぎつつ、坂を上りきった先に私の配属先である障がい者職業訓練校はある。私はそこの農業生産部門に配属されている。

 早いもので、この施設に配属されて1年近くが過ぎようとしている。赴任当初は、援助国から来たということで当然期待されたのは資金援助。しかし、私たち協力隊員はお金ではなく技術援助を目的として派遣されている。そこで、まず取り組んだのが農場内にある有機物を利用した堆肥作り。

 配属当初は農場の資金不足から肥料を買うことができなく、野菜栽培はされていなかった。気候も風土も違う中で、まさにゼロからの出発。当初は堆肥を利用した野菜栽培に懐疑的だった作業員も、立派に育った野菜を見て納得してくれたようだ。

 そんなマラウイ生活での楽しみの一つが昼食の「ンシマ」である。ちなみに、ンシマとはマラウイの主食でトウモロコシの粉をお湯で練ったものである。

 それを手で練って丸め、おかずと一緒に食べる。おかずは葉物野菜、玉ネギ、トマトを油で炒めて塩で味付けをしたシンプルなものである。

 お昼時、家へ向かって歩いていると、どこからか「カリブー」と声がかかる。「家でンシマ食べていったら」という意味である。赴任当初はあまり好きでなかったンシマだが、今では暑さと作業で疲れた後は、このンシマを食べないと元気が出ないほど好きになってしまった。

 マラウイは今も世界最貧国の一つといわれるほど、経済的には貧しいかもしれない。生活するにも何かと不便である。でも、不便だからこそある“豊かさ”がここにはある。残りの任期も彼らと同じ目線で、共に活動していきたいと思っている。

【古川雄三さん】
写真:古川雄三さん
ふるかわ・ゆうぞう 米国、日本での農場勤務を経て、2012年3月から青年海外協力隊としてマラウイに派遣。職種は野菜栽培。多治見市出身。29歳。

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