ふるさとへの便り

エチオピア

仕事の考え方に違い
写真:聖母マリアの日のお祈り行事=エチオピア

聖母マリアの日のお祈り行事=エチオピア

 先週、6カ月のカリキュラムを終えた生徒たちが卒業しました。感慨もひとしお−と言いたいところですが、最後の最後までスケジュールが定まらず、感動する暇もありませんでした。このように、エチオピアで活動する中で一番苦労するのが、仕事に対する価値観の違いです。

 私の配属先「Vocational Training & Production Center」の従業員や生徒は大体、敬虔(けいけん)なエチオピア正教徒(オーソドックス)です。このキリスト教宗派の特徴は、動物性タンパク質を取らない、午後3時までは飲食しないという断食(ツォム)があることです。毎週水曜と金曜の習慣的な断食と、3月中旬から5月のイースター(ファシカ)までの長期断食があります。その間は来る生徒もまばら、従業員も空腹のために昼寝をしたり、教会へお祈りに行ったりと仕事になりません。

 また、エチオピア暦で毎月21日は聖母マリアの日で、平日でも聖母マリアをまつる教会へ祈りに行き、職場でも祈りをささげ、エチオピア独特の大きなパン(直径50センチほど)や地ビール(アルコールなし)を皆で分け合っていただくという行事がありますが、やっぱりその日も仕事になりません。

 毎日の習慣としては、午前10時ごろと昼食後、そして午後3時ごろにお茶の時間があります。その間はひたすら雑談、井戸端会議が開かれます。飲み物がコーヒー(ブンナ)の場合、豆を煎(い)るところから始め、淹(い)れるのに2時間、3杯飲むまでに2時間かかり、その間もまた仕事になりません。

 しかし、エチオピア人にとっては仕事や納期なんかより、それらの時間の方が大切なのです。それは、私たちにはどうしようもできないことです。最初は考え方の違いに戸惑い、いら立つこともしばしばありましたが、これがエチオピアの常識なんだと受け入れられるようになりました。

【渡辺寛子さん】
写真:渡辺寛子さんさん
 わたなべ・ひろこ ファッションデザイナーを経て、2011年6月から青年海外協力隊としてエチオピアに派遣。職業訓練学校で服飾(洋裁)を指導。岐阜市出身。28歳。

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