ふるさとへの便り

ブータン

ダンスで変わる人生
写真:一緒にダンスをする仲間=ブータン

一緒にダンスをする仲間=ブータン

 私がこの学校に来るまでは、体育の授業というものは補習授業や自由時間でしかありませんでした。体育の授業を経験した教師がいないから、教えることができる人がいませんでした。

 そこで私は、運動の技術や方法を教えるとともに、毎回の体育授業で一つの目標を掲げ、どうすれば目標に近づけるかということを問い掛けています。それは私が彼らに教師としても、個人的にも望むことです。

 しかし、ブータン人の常識としては、目標に向けて技術や経験を深めていくということはあまり一般的な考え方ではありません。なるようになる、無理はしないという考えが強いのです。私の考えはブータンらしい考え方とは違いますが、その考え方が誰か一人には伝わるということを期待して続けています。

 私の同僚の一人は、幼いころに青年海外協力隊隊員として活動していた日本人の体育教師から体育授業を受けました。彼女は、その教師に励まされ続け、長距離走を完走できたことが心に残っているそうです。それが自信につながり、後に長距離走で多くの賞を受けるようになりました。彼女はその人に会って人生が変わったと話します。

 彼女がそうだったように、今、人生が大きく変わろうとしている友人を紹介します。私は趣味でダンスをしているのですが、幸いこの国でダンスを通していい仲間ができました。その中の一人のソナム(20)は高校を卒業した後、働かずに街をぶらぶら歩いたり、ダンスをしたりとなんとなく毎日を過ごしていました。そんな時期に私は彼に会ったのですが、程なくして彼は日本語学校に通い始め、みるみるうちに日本語が上手になりました。

 そんな彼がつくった日本語のスピーチにこうあります。「何かに興味をもてば、何かは不可能ではなくなる」。彼は、それを人に伝えるためにイベントを計画しています。ダンスを通して私は変わることができたら、それを若い世代にも伝えたいと言います。私は彼の気持ちがブータンの若者に一人でも多く伝わることを願い、彼と一緒に模索をしています。

【山根大典さん】
写真:山根大典さんさん
 やまね・だいすけ 大学を卒業後、2011年9月より青年海外協力隊としてブータン王国に派遣。デチェンチョリン小中学校で小学校教諭として活動中。可児市出身。24歳。

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