ふるさとへの便り

キルギス

仕事より家族を優先
写真:キルギスの家族の食卓=キルギス、ビシュケクのホームステイ先

キルギスの家族の食卓=キルギス、ビシュケクのホームステイ先

 キルギスに来て、1年と半年が経過。残りの任期も半年となりました。学校での活動は5月25日に卒業式を迎え、夏休みに入り、キルギスの自然が最も美しく映える季節がやってきています。

 卒業式は、最後の鐘(Последний звонок)と言われています。卒業式の終わりに、卒業生(11年生)代表が最小学年(1年生)代表生徒を肩車して、鐘を鳴らしながら1周すると言うイベントからこの名前がついています。

 授業の終わりを知らせる鐘は、卒業生にとって最後の鐘となるわけです。

 卒業式が終わると、生徒たちは約3カ月という長い夏休みに入ります。夏休みが長いからといって、子どもたちは遊んでばかりいません。生徒それぞれ、家庭での仕事を手伝っている姿をよく目にします。男の子は家畜を追い、力仕事をし、女の子は家族と共にいて、家事を手伝います。

 このように、キルギスでは家族の絆をとても大切にし、結び付きが強いです。仕事よりも何よりも家族が大切であり、個人よりも家族の方が大切です。例えば、母の誕生日。「母の誕生日だから休ませて下さい。早く帰らせて下さい」というのは当然で、授業を休むこともあります。

 もし、仕事を優先してしまうと仲間外れです。「母の誕生日より仕事が大切」「全く親不孝の息子(娘)」となります。

 また、親と同居していない場合、お母さんに毎日何回も電話をかけます。娘2人が母の取り合いをして、「どうしていつも妹のところばかりに行くの」「この間は、お姉ちゃんのところに行ったでしょ」のような会話があります。

 キルギスに来て、1カ月ほどキルギス人家族の家にホームステイをしていましたが、家族以外にも親戚と同居して、誰が誰だか分かるまで時間がかかりました。また、次々と親戚がやってきて、親戚間の交流の多さを目の当たりにしました。

 新年にホームステイの家へ行くとわざわざ時間をとって食事を用意し、もてなしてくれたりもします。

 しばらく会っていないキルギス人に会うと、「家族はどうだ」「電話はしているか」「メールは書いているのか」と心配してくれます。家族の話題を好まない、あまり表に出さない日本人とは大いに異なります。

 また、年上を敬い、バスやマルシュルートカと呼ばれるミニバスに乗る際は、若者は積極的に年上や女性に席を譲ります。時には、譲りなさいと若者に言われることも。

 長い放牧生活の歴史の中で育った家族の絆を大切にし、年上を敬うという習慣は今でもしっかりとキルギスの人々の間に引き継がれていると感じます。また、このような家族の絆、人の絆は変わらないと思います。いつまでも変わらない姿でいてほしいと思うと同時に、このような絆を忘れずに日本に帰り、大切にしたいと感じています。

【木俊洋さん】
写真:木俊洋さんさん
 たかぎ・としひろ 会社員を経て、青年海外協力隊23年度3次隊(2012年1月〜14年1月派遣)としてキルギスに派遣。PCインストラクターとしてビリムオルド中等学校で情報科学科目を指導。不破郡関ケ原町出身。36歳。

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