ふるさとへの便り

マラウイ

今この瞬間を楽しく
写真:おやつを売る子どもたち=マラウイ・チラズル県ナマジ

おやつを売る子どもたち=マラウイ・チラズル県ナマジ

 朝6時半。長袖のシャツに上着を羽織って農場へと向かう。アフリカといえども暦の上で冬にあたるこの時期の朝夕は冷え込む。障害者職業訓練校の農場生産部門に配属されて1年と4カ月。慢性的な資金不足により、学校に生徒を受け入れられないことも多いのが現状である。しかし、私が配属されているのは学校付属の農場であるので、それほど関係はない。ただ、学校にお金がなければ、当然農場を運営するための資金も不足してくるというもの。そんな中で、いかに支出を抑えて農場を運営していくかが鍵となってくる。

 赴任してからこれまでしてきたことは、堆肥を使った野菜の有機栽培、身近な植物から作る自然農薬作り、かんがい用水路の補修、メイズの比較栽培試験、稲作栽培ワークショップなど。ちなみに協力隊員の活動は、すぐに劇的な変化が望めることは非常に少ない。それもそのはず、隊員が活動しているのは、すでにその土地で何十年、何百年と生活してきている人々に対して、その土地に合った技術や知識を伝えていくという作業になるからである。

 赴任当初は、彼らが何を必要としているのかと考え、立ち止まることも多かった。それでも、これまで共に仕事をして、生活をして、遊びをする中で少しずつではあるが彼らのことが分かってきたように思う。そんなマラウイで生活している中で、こんな言葉をよく耳にする。「Today is today」。良くも悪くも、後先をあまり考えないマラウイ人、とにかく今日一日、今この瞬間を楽しく生きることにたけている。それは子どもも大人も同じで、彼らの笑顔を見れば一目瞭然である。

 今の日本は物質的、環境的にすごく恵まれている。あって当たり前のもの、ことが多くある。でも、その当たり前が故に、足元の小さな幸せを見逃してしまっているということはないだろうか?。今この新聞を読んでいる、われわれ一人一人がしている生活は、彼ら、マラウイ人にとっては、まさに夢の生活なのである。

【古川雄三さん】
写真:古川雄三さんさん
 ふるかわ・ゆうぞう 米国、日本での農場勤務を経て、2012年3月から青年海外協力隊としてマラウイに派遣。職種は野菜栽培。多治見市出身。29歳。

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