ふるさとへの便り

パラグアイ

子ども守る行動を
写真:オートバイの後部座席で抱っこされている赤ちゃん=パラグアイ

オートバイの後部座席で抱っこされている赤ちゃん=パラグアイ

 私が働く保健ポストは、国道に面した場所にあり、診療所と保健所を組み合わせたような役割を果たしています。

 しかし、国道近くに住む人はわずかで、多くの人々は国道から横道に奥深く伸びる地域に居住し、10キロ以上の遠方からバスやオートバイまたは徒歩で来院する人もいます。その道に舗装はなく、デコボコした赤土路面となっているため、自動車であっても走行には注意が必要です。近年、オートバイが安価で購入できるようになったため、一家に1台所有し、それが家族の重要な交通手段となっています。しかし悪路面や、高速車両の往来が多い国道での交通事故が問題にもなっています。

 活動当初から気になっていたのは、母親らが赤ん坊を自分の腕だけで抱っこし、オートバイの後部座席に乗って移動していることでした。パラグアイの人はオートバイの二人乗りに慣れているせいか、どこにもつかまりません。もし不運にも事故に遭ったり、オートバイが倒れてしまったら、赤ん坊は放り出されて、命を落とすことになるかもしれません。しかし、人々にオートバイに乗ること、二人乗りを制限することは、生活に支障をきたします。

 何か赤ん坊を守る方法がないかと考えたのが、日本で若いお母さんに人気があるクロス型の「抱っこひも」でした。これを使えば万が一事故に遭ったとしても、赤ん坊は放り出されることはなく、母親の体で赤ん坊を衝撃から守ることができます。作成はボランティアの配属先工房に依頼し、商品名は現地語で赤ちゃんを支えるを意味する「ミタジョコハ」と名づけ、保健ポストで販売を始めました。金額は市場でTシャツを購入するのと同じくらいです。

 ポスター貼り、来院した赤ん坊連れの母親に紙芝居と人形を使った実演販売をするのですが、なかなか買ってはもらえません。また購入してもオートバイに乗るときは「忘れてしまった」と活用してくれない人もいます。母親らは、事故に遭ったときの赤ん坊の危険を分かっていながらも、習慣を変えたがらないのが一因のようです。

 子どもの命を危険から守ること、それを行動に移してもらえるよう、残りの任期1年でパラグアイの人々に働き掛けていきたいと思っています。

【木村裕美子さん】
写真:木村裕美子さんさん
 きむら・ゆみこ 看護師・看護教員を経て2012年6月から青年海外協力隊・看護師としてパラグアイに派遣。地域の保健ポストにて、住民へ保健サービスの提供・職員へのサービス能力向上支援を行っている。可児市出身。40歳。

「ふるさとへの便り」一覧