ふるさとへの便り

スリランカ

住民主体の行動促す
写真:子ども会プログラムの様子=スリランカ

子ども会プログラムの様子=スリランカ

 アーユボーワン!(シンハラ語でこんにちは)。豊かな自然に恵まれ、「インド洋の真珠」とも呼ばれるスリランカの地で青年海外協力隊として活動しています。私の活動地は首都から北へ約200キロのところにある農村にあり、住民の多くが稲作、バナナ、ココナッツ、パパイヤなどを栽培する農業に従事しています。

 スリランカは地方でもテレビや携帯電話が普及していますが、電気が不安定で水道施設もないところもあるため地方では多くの家が井戸を持っています。また、農業用の用水路が村の至る所を流れており、洗濯や沐浴の場としても利用されています。自分の家族が食べる米や野菜を育て、家の井戸で飲み水を汲み、用水路でもく浴と洗濯をするというのが、農村部の人々の暮らしです。

 私が所属するのは「サムルディ公社」という貧困対策を目的とした部門です。農村では日雇いの農作業をしているが収入が不安定な人、自分の土地を持っていない人が多くいます。これまでの活動の中で、サムルディ公社からの小規模融資を利用して生計向上に取り組む住民の生活状況、生計に関する聞き取り、住民組織の会合への出席、貧困の連鎖を断ち切るための子ども会プログラム実施、また障害のある人たちの生計向上を目指して、障害当事者グループが取り組む授産活動の運営や販売に関わってきました。活動の中では、住民の方と関わる機会が多く、言葉も不十分、道や行き先も不明確、文化や風習にも不慣れな私は、自分が協力する以上に現地の人たちに助けられ、協力してもらいながら何とか生活も活動もできているのが実情です。

 現地の人と言葉を交わす中で、「何かもらえるのか?」「何を教えてくれるのか?」ということをよく聞かれます。私はこうした質問に対し、あえて『何もしない』と答えています。私ができるのは「何がしたいのか」「自分たち(住民自身)の力でできることは何か」を現地の人々に投げ掛けること、そして十分に機能、活用されていない地域の資源を活用するように促すことだけです。つまり、私が心掛けてきたことは「何もしない」ことです。

 それでは協力隊ではないと思われるかもしれませんが、その通りです。私が協力隊員としてどれほど精力を出したとしても、スリランカの人自身が自分の生活について考え、自らの意思で行動しなければ、それは協力ではなく単なる押しつけの援助だと思います。私がすべきなのはスリランカの人自身の主体的な考えや行動(エンパワメント)を引き出すことだと考えます。残りの活動期間の中で住民自身が考え、自らの力で立ち上がっていくきっかけを少しでも作れれば、土地を耕し、種をまく活動ができればと感じています。

【三輪洋子さん】
写真:三輪洋子さんさん
 みわ・ようこ 障害者福祉施設勤務を経て、2012年6月から青年海外協力隊としてスリランカに派遣。職種は村落開発普及員。土岐市出身。27歳。

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