ふるさとへの便り

パラグアイ

実習室の環境を改善
写真:完成披露式で経過説明をする桐山芳和さん=パラグアイ

完成披露式で経過説明をする桐山芳和さん=パラグアイ

 昨年10月、工業高校3年生にとって最終の学校行事となる「授業報告会」が開催された。会場の実習室は、私が到着した午前8時にはすっかり準備も整っていた。全員制服を着用し、緊張した面持ちで整列しながら発表を待つ生徒を見て、「高校生らしい」と感じた。教育省の局長や学校長らと共に、最前列の来賓席に案内された。まず、校長が晴れやかな表情で、これまでの教習課程や成果を報告し、私が提唱し取り組んでいる「KAIZENプロジェクト」について説明した。

 次に、私が籍を置く建築科の主任教諭が壇上でスピーチをしたが、途中、感極まり言葉が途切れて手で目頭を覆い、父兄や学生から共感の拍手が起こる感動的な一幕もあった。その後、3年生による授業報告では、全てのグループがKAIZENプロジェクトについて報告してくれた。

 このプロジェクトは、実習室の環境と機能の改善を目的としていた。以前の実習室は照明や採光が暗く、物と人が入り乱れる雑然とした広いばかりの教室であったが、@既存照明器具の位置を下げ照度を上げるA収納を兼ねたパーティションで動線と視線を区分・確保するB作業台や学生用収納棚を設置し、使用頻度の少ない機器類や材料を整理することで、同室の環境改善を図った。

 実施に際しては、JICAは材料費だけを負担し、教員指導の下で、計画段階から全ての工程を3年生が主体となり実行した。作業の途中、学生が床と壁の塗り替え作業を自主的に行っているところに加え、ほこりが覆っていた照明器具の清掃、点検も行った。ほこりが舞い、ドリルの音やペンキのにおいが充満する実習室で、試験や授業も受ける学生はタフで、かつ、大いに成長した。

 また、3年生の「校外実習」期間中には1、2年生有志が受け継ぎ、必要に応じて他の学科の協力も仰ぎ、全校的なプロジェクトとなった。授業報告会から1カ月後、実習室の改善プロジェクトが完了した。その完成披露式が多数の保護者や学校関係者の参加の下で行われ、私はKAIZENの意義や工程について報告した。学校でのボランティア活動は、多くの感動を与えてくれる。そして、今、さらなるKAIZENと感動を共有するため、新学期に向けての業務計画を立てる時にある。

【桐山芳和さん】
写真:桐山芳和さんさん
 きりやま・よしかず 20代に青年海外協力隊で参加。帰国後、建築設計事務所自営の傍らOB会活動に従事。業務を一時休止し、シニア海外ボランティアで2012年6月からパラグアイの首都アスンシオンにある国立工業高校の建設科アドバイザーとして活動中。垂井町出身。66歳。

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