ふるさとへの便り

スリランカ

障害者ら製品づくり
写真:障害者の作業教室=スリランカ

障害者の作業教室=スリランカ

 私がいるのはスリランカの首都スリ・ジャヤワルダナ・プラコッテから北へ200キロほど離れた農村です。人口約3万3千人、農業用の貯水池があり、住民の多くは稲作を中心とした農業で生計を立てています。

 任地は「障害のある人の地域に根差したリハビリテーション」事業のモデル地域として、地域の資源を生かして障害のある人を含む全ての住民の生活をより豊かにしていくことを目指しています。

 現在5人の青年海外協力隊が派遣されており、それぞれ違う部門に属しながらも、各部門の同僚や地域の人と一緒に一つの目標に向かっています。取り組みの一つとして、「障害のある仲間の作業所」をご紹介します。

 私が活動する地域には舗装されていない道路が多く、バスの通る道から離れているところにも多くの民家が存在し、障害のある人のための公的な施設はなく、障害のある人が参加できる機会、条件は限られています。

 そんな中で、2008年に「障害のある仲間の作業所」が現地の行政官、障害のある人とその家族、そして当時活動していた協力隊員と共に立ち上げられ、現在もこの活動が現地の人々によって続けられています。

 この作業所の特徴は二つです。一つは、作っている製品が身近な材料を使っているという点です。任地には多くのヤシ畑があり、家庭でもヤシの木を持っている家が珍しくありません。ヤシの丈夫な葉はほうきに、実の皮の部分には繊維が多いのでブラシやひもを編むのに適しています。また、家庭で調理して余ったココナツの実からココナツ油を取り出し、その油で石けんを作っています。ヤシやバナナなど、現地にあり安価で手に入る材料を使った製品づくりは、地元の物を生かしているという点でも、無駄がないという点でも非常に優れていると思います。

 もう一つは、製品づくりを通して障害のある人が仲間との結束を高めているという点です。参加者の多くは製品づくりを通して「自分にもできる」という自信を持ち、それが新たな製品づくりなどの作業所の活動の原動力になっています。また、開始当初は行政が主導していた運営も、多くの部分を障害のある人とその家族が担うように変わってきています。単なる製品づくりではなく、当事者の主体性が強化されていることがこの作業所の大きな特徴であると考えます。

 このように、地域の中にある物や人がつながっていくことは障害のあるなしにかかわらず、人々の生活を豊かにしているのではないでしょうか。協力隊の活動は現地にある物を生かし、現地の人々が主体的に取り組めるようにするきっかけの一つにすぎないと思います。作業所のように形に残る活動ばかりではないのも実情ですが、少しでも任地の人がより豊かに暮らすきっかけになれたらと考えています。

【三輪洋子さん】
写真:三輪洋子さんさん
 みわ・ようこ 障害者福祉施設勤務を経て、2012年6月から青年海外協力隊としてスリランカに派遣。職種は村落開発普及員。土岐市出身。27歳。

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