ふるさとへの便り

エクアドル

水泳指導で友好深く
写真:大会前の選手への指導風景=エクアドル、リオバンバ市

大会前の選手への指導風景=エクアドル、リオバンバ市

 南米エクアドルに水泳指導のため赴任し、2カ月ほどたった2013年9月7日、私はホームステイ先で20年夏季五輪の開催都市を決めるIOC総会のテレビ放映を見ていた。その最終プレゼンで安倍首相は思いもよらぬ内容を話し始めた。

 「東京オリンピックの翌年、日本はボランティアの組織を作り、以来3千人にも及ぶ日本の若者がスポーツの指導者として世界各国で働いている。そしてこれからスポーツ・フォー・トゥモローという新しいプランのもと、日本の若者はもっとたくさん世界へ出て行く。2020年までに彼らはスポーツの悦(よろこ)びを100を超す国々で1千万を超す人々へ直接届けるだろう」

 私は目頭が熱くなった。最終プレゼンという最重要な場でわれわれJICAスポーツ隊員のことを全世界にアピールして下さったのだ。そして東京は20年のオリンピック開催地となった。

 次の日、多くのエクアドルのコーチからSNSを通じてお祝いのメッセージをいただいた。また彼らの目標の一つに東京オリンピック出場が加わった。

 彼らのコーチングは情熱的で選手を鼓舞することに長(た)けている。しかし、トレーニングプログラムのPDCA(Plan「計画」、Do「実行」、Check「評価」、Act「改善」のサイクル)の評価の部分に大きな問題を抱えている。計画し実行はするが、最も大切な評価がタイムでしかできておらず、問題点がなかなか改善に至らない悪循環がある。

 現在は、この現状を打破すべく、評価を生化学(血中乳酸値、ヘモグロビンなど)、筋力(筋パワーデータなど)、泳映像(各関節角度・ストローク頻度など)に細分化し、それらの重要性について実践指導による技術移転を行っているところだ。

 彼らの情熱的な指導と科学的評価が融合したとき、エクアドルの水泳は大きく発展していくだろう。今年の最大の目標は、10月に東京で行われる競泳ワールドカップでのエクアドル初の決勝進出だ。それとともにエクアドル水泳界と日本水泳界の交流の懸け橋となり、スポーツを通した両国の友好関係構築に尽力したいと思う。

【糸井 紀さん】
写真:糸井 紀さんさん
 いとい・おさむ 岐阜県立高校、岐阜市ぎふ清流国体事務局、同市教育委員会勤務を経て、2013年7月から現職教員派遣としてエクアドルに派遣。職種は水泳。岐阜市出身。40歳。

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