ふるさとへの便り

インドネシア

「バティック」毎日着用
写真:市民が利用するバティックの店=インドネシア、ジャカルタ

市民が利用するバティックの店=インドネシア、ジャカルタ

 今年4月末からインドネシアの首都ジャカルタにある日本大使館で勤務を始め、赴任から半年が過ぎました。四季がなく一年を通して暖かいジャカルタでは、衣替えはなく、基本的には年中夏服で過ごしていますが、今回は私が毎日着用しているインドネシアの伝統的な布製品「バティック」について紹介したいと思います。

 バティックは、染めようとする色以外の所を蝋(ろう)で覆う「ロウケツ染め」の布のことで、日本では「ジャワ更紗(さらさ)」の名前で知られています。起源は古代ヒンドゥ・ジャワ王国の王宮文化にあり、元々は王宮や一部貴族のみ着用が認められていましたが、現在はシャツやスカートとして広く一般的に着用されています。

 特に2009年10月2日、ユネスコによって世界文化遺産に認定されて以降、結婚式や大学の卒業式などの公式な場だけでなく、インフォーマルな場でもよく着用されるようになりました。例えば、若者はファッションとしてバティックを着用しますし、会社などでは週に1日、バティックを着て仕事をするバティックデーを設けているところも多いようです。式典や結婚式となれば、女性を中心に全身を色とりどりの「勝負バティック」に身を包み、まるで王宮にいるような上品で美しい世界を垣間見ることができます。

 また、バティックの起源が王宮文化にあり、伝統的な模様や色などが引き継がれているため、インドネシア人にとってバティックは自分たちのアイデンティティそのものとして、非常に大切にしていることが見て取れます。男性用のバティックは少しゆったりとしたサイズのものを裾出ししたまま着用するスタイルのため、スーツと比較して非常に涼しく、また、長袖であればスーツと同様正装と見なされるため、私は毎日愛用しています。

 多くの島からなるインドネシアのバティックは、その島、ひいては地域ごとに独特のモチーフがあり、それぞれに異なる印象を持つ繊細な色と柄が魅力です。自然染料を使用した手描きのバティックは非常に高価なため、気軽に購入することはできませんが、安価のものもありますし、インドネシアを訪れた際にはバティックを手に取ってみてはいかがでしょうか。

【堀晋久さん】
写真:堀晋久さんさん
 ほり・のぶひさ 今年4月赴任。在インドネシア日本大使館二等書記官として勤務(岐阜県から出向)。経済部に所属し、主に政府開発援助(ODA)、日・インドネシア間の地方連携・交流支援を担当。多治見市出身。

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