ふるさとへの便り

バングラデシュ

「最小限」で職業訓練
写真:グラフィッククラスの様子=バングラデシュ

グラフィッククラスの様子=バングラデシュ

 人口密度が高いバングラデシュの中でも、それが顕著な首都ダッカで生活しています。

 早朝5時前、家の前のモスクから大きな音で鳴り響くアザーン(イスラム教における礼拝時間が来ることを伝える呼び掛け)で起床。気温40度の夏季には水シャワーを毎日6回以上浴びることもあります。雨季には道端のごみと雨水で川になった道路を、リキシャ、CNG(自動三輪車)、動いているのが不思議なくらいオンボロなバスや車、人が入り交じり、身動きが取れないくらい混雑します。

 毎日、騒音と排ガスいっぱいの混沌(こんとん)とした道路を、機械熱が直接足元に伝わる暑苦しいバスに乗って移動し、ベンガル語で活動し、夜は夜で、遅くに訪問して来るベンガル人の対応をする、そんな日々にも慣れ、私にとってはごく当たり前のダッカの日常になりました。

 私の配属先は女性のための職業訓練校。そこでPCインストラクターとして「Webデザインクラス新設」と「既存のグラフィッククラスの質の向上」を目標に活動しています。訓練校のパソコンは、いろんなコンピューターのパーツを組み合わせて稼働しており、問題は毎日で、度々停電も起こって授業にならないという日もあります。

 制限が多い環境ですが、自主的に居残りして課題を行う熱心な生徒、卒業したら独立しようと考えている生徒も少なくはありません。最小限のスペックしかないようなパソコンで、より多くを学ぼうとする生徒、日本だったら廃車同然に見えるバスや車を修理して乗り続ける日々の光景から「最小限のものを最大限に生かして使う」「限られた環境でも最大限の努力をする」ことをあらためて考えさせられます。

 私はこの環境で、不便だと思う時ほど、人のつながりや助け合いの必要性、誰かの協力なしでは生きていけないと感じ、感謝することが増えました。少なく限られたものしか使えないという状況は不便ですが、それを迫られない日本でも、便利さの追求の中で少し立ち止まり、不便の中にある何かを見つめ直してみるのも良いのではないでしょうか。

【江崎百合名さん】
写真:江崎百合名さんさん
 えさき・ゆりな Webデザイナー/ディレクターを経て、2013年10月から青年海外協力隊(PCインストラクター)としてバングラデシュに派遣。職業訓練校で活動中。山県市出身。31歳。

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