ふるさとへの便り

中国・上海

「静かな春節」に変化
写真:周さん親戚一同の年夜飯の様子=中国・上海市

周さん親戚一同の年夜飯の様子=中国・上海市

 冬は特に大気の汚染状況が悪い日が増えるのですが、今年の春節初日、上海市は雲一つない青く澄んだ空が広がりました。理由は工場、工事現場の休止や交通量の減少もありますが、爆竹や花火がこれまで以上に厳しく規制されたことが大きく作用したとみられます。

 一方、過去には1週間で300万人が訪れたことがあるほど毎年多くの市民や観光客で賑わう豫(よ)園(えん)灯会(ランタン祭り)も、昨年市内で起きた将棋倒し事故の影響からか、安全面を考慮して中止されました。「爆竹や花火は騒音だけでなく空気も汚す。健康が心配なので規制は良いこと」と話す人もおり、伝統へのこだわりよりも、人々は環境や安全面を重視する傾向にあるようです。このように今年は一段と静かな春節になりました。

 春節の重要な行事に、旧暦の大みそかに家族が集まり食事をする「年夜飯」があります。従来は自宅で行われてきたものだそうですが、最近は少しぜいたくなレストランで楽しむのが主流で、有名店や人気店はすぐに予約が埋まるので場所を確保するのも一苦労のようです。

 上海市で、日本からの客を相手にガイド兼運転手をしている周さんの一族の年夜飯にお邪魔した時の様子を紹介します。1年前から予約をしたというレストランの一室に4世代40人が集まり、テーブルには前菜からデザートまで15品以上の料理やお酒が並べられました。

 年夜飯に欠かせないのが縁起を担ぐ料理です。生活が豊かになるようにと願い、余暇やお金が余ることを意味する余と同じ発音の「魚」、また、吉が多いように吉と発音が似ている「鶏」を食べる習慣があります。家庭によっては年年高(年々高くなる)の年高と同音の年糕(餅)が出され、北京など東北地域では子を授かるという意味の交子と発音が同じギョーザを食べるようです。

 周さん一族が料理を囲んで久しぶりに会う人たちとの会話を楽しむ中、子どもたちには災厄を抑えて福を呼ぶお守り「圧歳銭」(お年玉)が手渡されていました。これも大切な行事の一つで、年長者が子どもたちを慈しみ、子どもは年長者を敬うという心を受け継ぎながら、家族の絆を固めるという意味があります。

 上海市は、中部国際空港から飛行機で約2時間という近さで気軽に行ける海外です。歴史文化や古い町並みがあれば、高層ビル群もある新旧多様な魅力を持つ場所で、日本人も非常に多く、出張者などを含めると常時10万人いると言われています。ネガティブな面が印象づけられやすい中国ですが、日本から多くの方々に上海市(中国)を訪れていただき、体験や人々とのふれあいを通じて持っているイメージとの違いを感じてもらえたらと思います。

【谷口真里子さん】
写真:谷口真里子さんさん
 たにぐち・まりこ 2013年3月から県上海駐在員として赴任。主な業務は県内企業進出・販路開拓などの支援、観光などの岐阜県PR、岐阜県人会開催など。垂井町出身。

「ふるさとへの便り」一覧