ふるさとへの便り

シンガポール

和食求め日本に旅行
写真:街中にあふれる日本食の店=シンガポール

街中にあふれる日本食の店=シンガポール

 今年4月にシンガポールへ赴任して、早いものでもう9カ月近くがたちました。シンガポールは年間の平均気温が30度前後で、月ごとの温度変化があまりない国です。四季に慣れ親しんだ日本人としては、温度変化のない国で過ごしていると、時間が流れるのが非常に早く感じます。シンガポールもこの時期になると、街中がクリスマスイルミネーション一色になりますが、「真夏のクリスマス」は、不思議な感覚に襲われます。

 私がこの国で暮らし始めて一番驚いたことは、想像以上に「日本食」があふれていることでした。近頃は世界的に日本食がブームになっていますが、シンガポールにおける飲食店の約3割は日本料理とも言われており、新規にオープンする飲食店は日本料理店が非常に多いように思われます。また最近は、日本の大手外食チェーンの進出や日本人がシンガポールで開業するパターンも多く、日本と遜色ない本格的な日本料理をいたるところで味わうことが出来ます。

 このように、シンガポールは食事の面では日本人にとって住みやすい国なのですが、一方で日本食は非常に高いという難点もあります。例えば、日本のラーメンはこちらでも人気がありますが、1杯当たり平均で約1300円から1500円と、日本の約2倍の値段です。ホーカーと呼ばれる現地のフードコートに行くと、おおむね500円以内で食事ができますが、それに比べて日本料理店はどこも非常に高額です。

 よって、日本に行けば高額な日本料理を安く本場の味で味わうことが出来るということは、最近の円安傾向も相まって大きな訪日動機となっており、「日本食」目当てで訪日旅行をする方が多くなっています。国などが実施したさまざまな調査でも、シンガポールにおける訪日動機の1位は圧倒的に「日本食を味わうこと」でした。

 これを上手く利用しているのが九州です。豚骨ラーメンや明太子などに代表される九州の食は、こってりとした味付けや辛い味付けが好きなシンガポール人のニーズにマッチし、訪日旅行の行き先として、北海道や中部地方ももちろん定番の観光地として人気がありますが、近年では九州が一番目覚ましい伸びを示しています。

 日本の各地域からの売り込みでは、以前は高級食材の売り込みが主流でしたが、最近は全国各地からのB級グルメなどの売り込みも盛んです。岐阜県のB級グルメも「鶏ちゃん」などはシンガポール人の好みに合うのではないかと思います。

【澤村正仁さん】
写真:澤村正仁さんさん
 澤村正仁(さわむら・まさひと) 2015年4月、日本政府観光局(JNTO)シンガポール事務所に赴任(岐阜県から出向)。主な業務はシンガポール、マレーシア、インドから日本への観光客誘致。不破郡関ケ原町出身。

「ふるさとへの便り」一覧