ふるさとへの便り

カンボジア

教育環境の充実願う
写真:化学実験の様子=カンボジア

化学実験の様子=カンボジア

 青年海外協力隊員としてカンボジアに赴任し、1年と半年が過ぎました。私は、首都から南に約80キロに位置するタケオ州の州都にある中学校教員養成校に配属され、教員や生徒に理科に関する正しい知識や実験の技能を指導しています。生徒からは「ネアックルー(女性の先生に対する呼び方)」と呼ばれ、授業時間以外でも分からないところや教育実習で実践できる実験について聞かれるなど、信頼される喜びを感じながら、日々充実した生活を送っています。

 現在の大きな悩みは、せっかく習得した実験技能を生かすことが難しいという現実です。本校や州都周辺の中学校を除いて、理科室はもちろんのこと、虫眼鏡や棒磁石といった基本的な実験器具すらありません。事象を簡単に見せれば、すぐに理解できる内容でも、教科書の文字や白黒の不鮮明な写真でしか理解させるすべがありません。身近な物といっても現地の市場で入手できるものには限りがあります。いつの日か、カンボジア国内の全ての中学校に、本校の生徒が習得した知識や技能を最大限活用できる教育環境が整うことを願うばかりです。

 カンボジアの実情を目の当たりにし、あらためて自分が恵まれた環境下で教育を受けることができていたこと、教壇に立つことができていたことを実感しています。自分が受けた恩恵をここカンボジアで返すことができるように、そして「いつの日か」のために、今、私ができることを全力で取り組み、残り半年の活動を終えたいです。

 私は青年海外協力隊員になれたことに感謝しています。自分が培ってきた経験を生かすことができただけでなく、自分には自分を支えてくれているたくさんの人がいることに気付かせてくれたからです。ここで無事に生活ができていること、自分のやりたいことができていること、全てが「自分を支えてくれている存在」のおかげです。当たり前のことかもしれませんが、このことがどれほど幸せなことか気付けて良かったです。

【中上和奈さん】
写真:中上和奈さんさん
 中上和奈(なかがみ・かずな)公立中学校教員を退職後、2014年7月から青年海外協力隊員としてカンボジアに派遣。タケオ州中学校養成で理科教育を指導。安八郡神戸町出身。40歳。

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