ふるさとへの便り

ザンビア

稲作広げ、作物多様化
写真:ネリカ米は水田ではなく畑で育てる=ザンビア

ネリカ米は水田ではなく畑で育てる=ザンビア

 「何だそれは!」。鶏を絞めていると、隣家のザンビア人が、日本製ナイフの切れ味に驚いて感動してくれた。日本を旅立つ前、親友が贈ってくれた関市名産のナイフだ。アフリカのジャングルの木々を切り分けて進めるようにとの思いからであった。彼の期待と優しさに反するようで、少々申し訳ないが、ザンビアにジャングルはない。鶏を絞める時に重宝している。

 友人のように、アフリカと言えば、ジャングルや未開の地を想像するかもしれない。実際はそればかりでない。ここザンビアは、周囲を7カ国に囲まれる内陸国で、ヴィクトリアの滝が有名だ。内戦で混迷したアフリカ諸国が多い中、73の部族がいながら互いを尊重し合い、独立後一度も内戦を経験したことがない。首都ルサカには、大型商業施設や高級ホテルもある。一方、地方では多くの人々が、電気も水道もない場所で極めて素朴な生活を営む。この二面性こそ発展途上国なのだ。

 私は、首都から800キロ離れた農業畜産省サンフィア郡農業事務所に所属し、作物多様化プログラムに関わる稲作普及に取り組んでいる。ザンビアの主食はトウモロコシを粉末にし、のり状に煮たシマと呼ばれるものである。農家は、主食となるトウモロコシばかり栽培する。しかし利益は低く、貯蓄に回らないため、小規模農家の生活は向上しづらい。不作が続けば国民の食は壊滅する。そこでさまざまな作物を育てようという取り組みである。

 私の町では、稲作はほとんど行われていない。先例乏しいが、農家が自分たちで栽培できるようになるまで普及を進めたい。

 稲作研修を行った際、お礼を言われた。感謝の気持ちがうれしかった。同時に、誰かを支えたいと思う自分は、多くの誰かに支えられていると思い出した。祖母、両親、兄、親戚、親友、JICAスタッフ、応援してくれる多くの方々。今までありがとう。はるかなる日本へ。この思いが届くよう、ここアフリカの大地で精いっぱい責務を全うしたい。

【前島大輝さん】
写真:前島大輝さんさん
 前島大輝(まえじま・ひろき) 陸運業を経て、2015年3月から青年海外協力隊としてザンビアに派遣。コミュニティー開発隊員として、小規模農家の生活向上に努める。加茂郡七宗町出身。30歳。

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