ふるさとへの便り

香港

高山市をより身近に
写真:春節期間中、外国人観光客で賑わう古い町並み=高山市

春節期間中、外国人観光客で賑わう古い町並み=高山市

 今年の旧暦の正月元日は2月8日で、香港では正月三が日の祝日とその前の土曜日、日曜日を合わせて5連休となりました。旧正月(春節)を盛大に祝う香港では、お正月は家族が集まって食事をしたり、親戚の家を訪問したり、寺院に初詣に出かけるなど、日本と共通する部分もあります。

 一方、連休となれば旅行好きと言われる香港人は世界各地に旅立って行きます。その中でも近年、旅行目的地として最も人気を集めているのが日本です。2015年の1年間では、何と香港人の5人に1人が日本を訪れた計算で、人口当たりの訪日人数は世界ナンバーワンです。

 私もそんな彼らに交ざって、春節の休みを利用して故郷の高山に久しぶりに帰省することに。香港から中部国際空港行きの飛行機は、春節を日本で過ごそうとする香港人の家族連れやカップルで満席状態でした。隣の座席の夫婦は離陸後しばらくするとガイドブックを取り出し、これから訪れるのであろう名古屋の喫茶店や名古屋めしについて、何やら打ち合わせを始めましたが、その後の話題は高山や下呂温泉にも。異国の人々に自分の故郷に関心を持ってもらえることへのうれしさを感じながらの旅は特別な経験でした。

 帰省中には高山の古い町並みにも立ち寄ってみましたが、やはり春節期間ということもあって中華圏からの観光客が目立ちました。外国人観光客でにぎわう街中で職業柄敏感に反応してしまったのが「広東語」を耳にしたときです。広東語は香港や中国南部の人々が話す中国語の方言の一つで、標準の中国語とは明らかに異なる発音の特徴的な話し言葉です。古い町並みにはわずかな滞在時間でしたが、その間に数グループの広東語を話す人たちに出会いました。

 香港から遠く離れた高山で、普段耳にしている広東語に接することができるのは不思議な感覚でしたが、約2年間の生活で愛着が湧いた香港と故郷がつながっていることを実感することができた出来事でした。香港から高山への移動には丸一日必要なので、故郷を遠くの場所に感じることもあります。しかし、今回の旅を通じて、香港の人々が高山に関心を持ってくれていること、香港と高山の間に多くの人々の交流があることがよく分かり、故郷を身近に感じることができました。もっともっと香港と高山の距離を縮めたい。そのためにできることを私の第二の故郷ともいえる香港で取り組みたいと思います。

【江尻英夫さん】
写真:江尻英夫さんさん
 江尻英夫(えじり・ひでお) 2014年4月、高山市役所から日本政府観光局(JNTO)香港事務所に派遣。香港、中国広東省における訪日観光プロモーション、マーケティングを担当。高山市出身。

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