ふるさとへの便り

ネパール

深い大地震の“傷跡”
写真:給油の順番を待つ車列=ネパール・ラリトプール郡プルチョーク

給油の順番を待つ車列=ネパール・ラリトプール郡プルチョーク

 ナマステ(こんにちは)。きょうは私がネパールで経験した出来事についてお話したいと思います。

 まずは赴任後1カ月目に起きた大地震です。昨年4月25日昼ごろ、私はアパートの中にいたのですが、大きい揺れだとは思いましたが、家が崩れるほどではないと思い、家の中で揺れが収まるまでじっとしていました。収まって外へ出ると、大変なことになっていることが分かりました。亡くなった方は余震も含め8790人、建物の強度不足により50万戸以上が全半壊し、その下敷きになって多くの方が亡くなったとのことです。今、地震の影響は、私の住むカトマンズ近郊ではほとんど感じませんが、まだ避難生活をしている地方の人たちがおり、生活物資も不足していると聞いています。

 次ですが、昨年9月ごろから始まった車や調理用燃料の不足についてです。ネパールでは、昨年9月に新憲法が制定されました。新憲法の下、世界に48ある最貧国と位置づけられる国々の一つであるネパールが、ようやく発展への道を確実に進む一つの条件が整ったと思った矢先、新憲法の内容に反対する勢力による激しい抗議活動がネパール南部を中心に起こりました。

 燃料のほとんどは、南側のインドから運ばれてくるのですが、国境閉鎖などにより、輸送トラックがほとんど国内に来ない状況が最近まで続きました。新憲法の内容の修正などが行われ、抗議活動も下火になってきたのですが、まだ安心できない状況です。燃料不足の中、闇市場が成長し、新たな社会問題にもなっているようです。

 地震と燃料不足などの影響を強く受けて、直近の経済成長率は、ほぼ0%とも聞いています。以上のような状況ですので、2022年までに最貧国から抜け出すことを政府目標としているネパールに対しては、まだ多くの人たちの支援が必要であると思っています。ネパール人はこのような状況下でも黙々と生活し、いつも優しいです。成長への軌道に一日も早く乗ってもらいたいと願いつつ、活動を続けています。

【北住基さん】
写真:北住基さんさん
 北住基(きたずみ・はじめ) 電機メーカー勤務を経て、2015年3月からJICAシニアボランティアとして、ネパールに派遣。ネパール科学技術院で太陽光発電を指導。中津川市出身。65歳。

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