ふるさとへの便り

マレーシア、インド

訪日目的に「お国柄」
写真:白川郷の写真を使った現地旅行会社のブース=マレーシア

白川郷の写真を使った現地旅行会社のブース=マレーシア

 今回は私が勤務している日本政府観光局シンガポール事務所で、シンガポールと合わせて管轄しているマレーシア、インドからの訪日事情について簡単に紹介したいと思います。

 まず、マレーシアですが、シンガポールはマレーシアから51年前に分離独立したこともあり、両国は似た特徴を多く持っていますが、こうした類似性は訪日旅行においても影響しています。マレーシアのトレンドは「アセアンのショーウインドー」と呼ばれるシンガポールのトレンドに影響されやすく、シンガポールで人気の訪問先は数年後にはマレーシアでも人気が出ています。シンガポールで既に定番化した中部の人気が数年遅れで、マレーシアにも移ってきており、現在は多くの方が白川郷や高山などを訪れています。

 マレーシアは国民の約7割を占めるマレー系を中心にムスリム(イスラム教徒)の方が多いのも特徴です。現状では日本を訪れるマレーシア人の多くは、「華僑」と呼ばれる中華系の富裕層の方が多いのですが、経済成長による中間所得層の拡大などに伴い、今後、多くのムスリムの方が日本を訪れることも予想されます。

 観光に携わる方の中には「ムスリム」と聞くと、「ハラル」と呼ばれる特別な対応が必要なのではないかと身構える方も多いと思われますが、現地旅行社などからは、ことさら身構えるのではなく、料理の食材に関しての情報提供など、できることからやっていただければ良いという声もよく伺います。日本ではまだなじみの薄いムスリムの方への対応ですが、まずはできることから始め、ムスリムの方に対してフレンドリーな姿勢を見せることが受け入れのポイントだと思います。

 次にインドを紹介します。インドと聞くと、皆さんどのようなイメージを持つでしょうか? 中国に次ぐ12億の巨大な人口を持つ「未知の国」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、訪日事情に関しても他国と違う特徴を持っています。

 訪日の際の訪問先も、東京から富士山を通って、京都・大阪に至る「ゴールデンルート」は世界共通で人気がありますが、インドの場合はこれに広島が加わります。インドでは広島への原爆投下が学校教育等を通して広く知られており、原爆ドームはインドで人気の観光地です。

 また、日本食は世界の多くの国で訪日の主な目的になっているのですが、インドは宗教的な理由でベジタリアンの方も多く、日本食の訴求力も比較的低いと言われています。これはインド国内に日本料理店が少なく、日本食に触れる機会が少なかったのも原因の一つだと言われていますが、昨年、インドにおける日本の新幹線導入が決まり、今後多くの日本企業のインド進出も予想されます。それに伴い、インド国内でも日本料理店が増えてくると、日本食にも慣れ、日本食を求めて日本を訪れるインド人も増えるかもしれません。

【澤村正仁さん】
写真:澤村正仁さんさん
 澤村正仁(さわむら・まさひと) 2015年4月に日本政府観光局(JNTO)シンガポール事務所に赴任(岐阜県庁から出向)。主な業務はシンガポール、マレーシア、インドから日本への観光客誘致。不破郡関ケ原町出身。

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