ふるさとへの便り

香港

話し好き、長寿の秘訣
写真:騒がしい香港の飲茶の風景

騒がしい香港の飲茶の風景

 厚生労働省が7月に公表した資料によると、日本人の平均寿命(2015年)は男性が80.79歳で世界第4位、女性は87.05歳で第2位となっています。世界第1位は男性が81.24歳、女性は87.32歳でともに香港人です。女性の平均寿命は長い間、日本人が1位でしたが、男女ともに香港人が世界一となりました。

 この結果について現地の香港人に聞くと、一様に意外そうな表情を見せます。なぜなら、高温多湿の気候である上に、狭い土地に高層ビルがひしめき、近年は中国本土ほどではないものの大気汚染も深刻であるなど、ストレスを感じやすい環境にあるからです。また、中国本土に依存する社会構造に加え、形骸化しつつある1国2制度に対する不満や、家賃の高騰も、素直に結果を受け入れられない要因のようです。

 香港人の平均寿命が世界でトップとなった理由はいくつか考えられます。第1の理由は食生活です。街中には漢方スープや豆乳、亀ゼリーなどを売る店が多くあり、「医食同源」という考え方が日常生活に浸透しています。第2の理由は健康意識の高さです。ジョギングやハイキングをする市民が多く、公園には健康器具のようなものも設置され、街ではスリムで鍛え上げられた体型の香港人をよく見かけます。この他にも、新型肺炎(SARS)が流行した2003年以降、国を挙げて推進してきた衛生環境の改善も長寿の理由と考えられます。

 香港人の長寿を考える上で最も着目すべきポイントは「香港人は話し好きである」という点です。香港の飲茶は有名ですが、店内の騒がしさと言えばこの上ありません。お酒が入っていなくても、とにかくよくしゃべります。それぞれが好き勝手に話し、周りの空気を読むことがないため、じっとしていられない騒がしい小さな子どもを連れて行っても全く心配する必要がありません。香港人は良くも悪くもポジティブシンキングの人が多いように感じます。話すことでストレスをためないようにするのが香港流の長寿の秘訣(ひけつ)であり、日本人との大きな違いなのかもしれません。

【福井貴志さん】
写真:福井貴志さんさん
 福井貴志(ふくい・たかし) 大垣共立銀行香港駐在員事務所長。1996年大垣共立銀行入行、愛知県や岐阜県の営業店得意先係や市場金融部調査役を経て、2014年4月から香港駐在員事務所で取引先の海外進出支援などを担当。愛知県出身。

「ふるさとへの便り」一覧