ふるさとへの便り

ザンビア

「水田を作る」挑戦続く
写真:水田用に造成したため池。ため池は養殖池としても利用する=ザンビア

水田用に造成したため池。ため池は養殖池としても利用する=ザンビア

 大失敗だった。固く乾いた大地にしっかりと根をはり、しゃんと立つ陸稲から、思いもよらないほどの貧相な稲穂が垂れていた。青年海外協力隊としてザンビアに派遣されてから、はや1年半が過ぎた。ザンビアは南部アフリカに位置する内陸国だ。73部族がいながら内戦を経験していない平和な国である。一方、内戦を除けば、貧困、エイズウイルス(HIV)、脆弱(ぜいじゃく)なインフラなどアフリカが抱える全ての問題を一国で抱えると言われるほど、多くの問題が山積している。

 私が活動するのはサンフィアという小さな漁師町だ。首都ルサカより800キロほど北にあり、バスで11時間かけて移動する。バングウェウル湖という巨大な湖のほとりにあり、豊富な水産資源の恩恵を受けてきた。しかし乱獲により、漁獲高が減り、現在は漁師を陸にあげ、別の仕事をさせようとする動きもある。また、農業と言っても、ザンビアの農家は主食となるトウモロコシばかりを生産し、利益が低く生活が向上しづらい。

 そこで換金性の高い稲作の普及を始めた。陸稲種は水田でなくとも育つ。幸いザンビア北部は雨量が多い。畑作でも大丈夫だろうと安易に考えていた。しかし、雨期が早く終わってしまったので穂が実らなかった。やはり水田でなければ。平地であるサンフィアではかんがいが作りづらい。湿地帯に水田を作る試みだ。

 しかし、湿地帯をクワ1本で開墾するのは、かなりの重労働である。動きにくく、水分をたっぷり含んだ土は非常に重い。みな裸足で作業するが、ときに大量のアリに襲われる。ザンビアのアリはどう猛だ。私も2度ほど襲われた。あまりの痛みに、足に群がる無数のアリを落とそうと、思わず水に飛び込んだ。だから農家もすぐ来なくなる。家に出向いて励まして、一緒に作業する。また来なくなる。家に出向くを繰り返した。時間はかかったが、完成に近づいてきた。また失敗しやしまいか。不安がよぎる。アフリカの大地での挑戦は、もうしばらく続きそうだ。

【前島大輝さん】
写真:前島大輝さんさん
 前島大輝(まえじま・ひろき) 陸運業を経て、2015年3月より青年海外協力隊としてザンビアに派遣。コミュニティ開発隊員として小規模農家の生活向上に努める。加茂郡七宗町出身。30歳。

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