ふるさとへの便り

ロンドン

多様性が大きな魅力
写真:チャイニーズ・ニューイヤーでにぎわうロンドン=英国

チャイニーズ・ニューイヤーでにぎわうロンドン=英国

 「ロンドンは英国だと思ってはいけない」としばしば言われます。外国人在留者や移民の多さ、その影響によるさまざまな文化の融合などから、英国の中でも非常に特殊な都市であるからです。街には世界各国のレストランが軒を連ねていますし、地下鉄では毎日多種多様な国の言葉を耳にします。現地在住者と短期滞在者を外見で区別することはほとんどできないため、1週間も滞在すれば、観光客から道を尋ねられ、片言の英語で道案内をすることになるでしょう。

 2011年の英国国勢調査によれば、ロンドン在住者の半数以上が英国以外の民族的背景を持ち、また約4人に1人が英国以外の国籍を有するとされています。特に、その歴史的なつながりから、インドや中国をはじめとするアジア文化も強く根付いており、ロンドン在住者の数では、インド系民族は54万人、中国系民族は12万人を超えています。日本人も多く、外務省の統計によれば、都市別在留邦人数は欧州の中でもロンドンが3万6000人と群を抜いており、続くパリとは2倍以上の差があります。

 日本食ブームも相まって欧州最大級の日本食スーパーマーケットや無数の日本食レストランもあり、私達ロンドンに住む日本人にとってはありがたい限りです。

 こうしたロンドンにおけるアジア文化の浸透を象徴するイベントの一つとして、アジア圏外で最大規模を誇る「チャイニーズ・ニューイヤー(旧正月)」の祝賀行事があります。旧正月元日の翌日である1月29日には、ロンドン市長の後援のもと、華やかなパレードやパフォーマンスで祝賀ムードが高まり、チャイナタウンやトラファルガー広場周辺では車両規制が敷かれ、身動きも取れないような人混みであふれ返っていました。特に驚いたのは、来場者の多くが中国人以外とみられる方々だったことです。ロンドンでの旧正月の認知度の高さと、異国の文化が深く浸透していることを実感しました。

 英国が欧州連合(EU)離脱への道を歩むこととなった一因として、移民に対する反発感情があると言われていますが、ロンドンの大きな魅力の一つである多様性が失われることなく今後も続いていくことを願うばかりです。

【高桑愛美さん】
写真:高桑愛美さんさん
 高桑愛美(たかくわ・いつみ) 2016年4月、岐阜県庁から一般財団法人自治体国際化協会ロンドン事務所に派遣。所長補佐。主な業務は、英国および所管国の地方自治制度に係る調査総括、英国地方自治関係団体との交流連携など。岐阜市出身。

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