ふるさとへの便り

ミャンマー

自治体の役割、再認識
写真:給水施設整備支援の様子=ミャンマー

給水施設整備支援の様子=ミャンマー

 「東南アジア最後のフロンティア」と呼ばれて久しいミャンマーに赴任して早くも半年がたとうとしています。新築アパートなのに薄茶色い水道水や、穴ぼこだらけの道路といった、途上国によくある風景にはすっかり慣れましたが、ミャンマーの現状を見ていると逆に、日本の(地方)行政がいかに極限まで整えられたものであるかを実感しています。

 生活のための基盤、例えば全ての家まで行き届いた上下水道や舗装道路、公共交通機関の整備、税金の徴収、住民票の管理、充実した福祉・医療・教育といった行政サービスをつくり、維持していくということは、ごく当然の事として受け止めてきたことですが、それは50年以上軍事政権が続いたミャンマーではほとんどが手を付けられていません。そのことについて分かっていたつもりですが、実際に住んでみるとかなりの衝撃でした。

 国全体が経済成長著しかろうが乱れようが、淡々と人々の日々の生活を支えるのが地方自治体の役目であるという当然のことを今更ながら肌身にひしひしと感じ、大使館員の身分としては不思議なのですが、地方公務員としての原点を学び直す思いで働いています。

 ただ、これは日本が特別素晴らしいからではなく、戦後、長年をかけて少しずつ積み上げてきたものの結果です。ミャンマーは今、アウン・サン・スー・チー氏率いる新政権に移行してまだ1年。基盤をつくり始めた時期にあります。ミャンマーは経済発展と貧困削減はもちろんですが、同時に、国の発展のためには恒久的停戦と国民和解が不可欠として、少数民族武装組織との和平、そしてラカイン州問題(いわゆるロヒンギャ問題)の解決を最優先課題に掲げています。

 課題は多く複雑で長い時間の取り組みが必要ですが、目まぐるしく動く国際情勢の中で、ミャンマーが何を目指し、何を成し遂げていくのか見据えることが、ミャンマーのさらなる民主化・国民和解・経済発展を官民挙げて全面的に支援する日本にとっても、非常に重要となります。その最前線にいる者として、そして地方公務員としての視線も持ちつつ、2年目となる新生ミャンマーのこれからの道のりに注目していきたいと思います。

【尾関有希子さん】
写真:尾関有希子さんさん
 尾関有希子(おぜき・ゆきこ) 2016年10月に赴任。在ミャンマー日本大使館2等書記官として勤務(岐阜県庁から出向)。政務班(外政=ミャンマーの第三国外交、国民和解=ラカイン州情勢、人権分野など)を担当。各務原市出身。

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