ふるさとへの便り

エルサルバドル

浴衣、風呂敷に熱視線
写真:日本文化祭で風呂敷の包み方を教える学生ら=エルサルバドル

日本文化祭で風呂敷の包み方を教える学生ら=エルサルバドル

 今、エルサルバドルにいる。外地にいると日本を再認識できる。特に、5月6日に現地の日本語教師の皆さんが、中米大学で開催した日本文化祭ではそうだ。たこ焼き販売は長蛇の列だった。タコをイメージしたたこ焼きを見て改めて面白いと感じた。おにぎりも好評だった。この国では米食は日常的だ。ただし味ご飯であって白飯を食べる習慣はない。白飯を見て日本が懐かしくなった。浴衣の着付けもすごい人気だった。1時間待ちである。学生たちは好みの浴衣を着付けてもらい記念撮影をした。和傘を携えご満悦だ。

 今の日本では伝統文化が生活から遠ざかっている。しかし浴衣は別格だ。日本の若者に受け入れられ、継承されている。あの色彩とスタイリングには素敵な魅力が潜んでいるに違いない。歓喜の声に振り向くと日本の伝統的な遊びコーナーであった。学生たちはけん玉に昂(こう)じ、輪投げに一喜一憂し、だるま崩しなどに一心不乱に打ち込んでいた。昔の遊びの多様性と高度なものづくりの技術に畏敬の念を持たずにはいられなかった。現在、日本製のゲームが世界を席巻している理由もこのあたりにあると改めて感じた。

 風呂敷も思わぬ人気だった。特に瓶の包み方は多くの人々を魅了した。もう日本ではほとんど使われなくなってしまった。一枚の布がどのような形状の物をも包み込むマジック。驚愕(きょうがく)の思いで、風呂敷が日本の誇るべき文化だと再認識させられた。

 先日、私の配属先の大学の学食で食べ物を喉に詰まらせ、苦しい思いをしたことがあった。この時、周囲の数人の学生が心配して近くに寄ってきて、背中をさすってくれたり、自分の水をコップに注いで差し出したりしてくれた。思いやりは日本の伝統的文化だと思っている。しかし、現地の学生のような実行力は減退しているように思える。日本の伝統的文化を徹底的に考えたくなった。

【堀純兒さん】
写真:堀純兒さんさん
 堀純兒(ほり・じゅんじ) 教員を経て、2015年7月からシニアボランティアとしてエルサルバドルへ派遣。エルサルバドル大学で日本語を日本語教師と学生に指導。多治見市出身。64歳。

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