ふるさとへの便り

ベトナム

中秋節は子どもの日
写真:月餅の出店=ベトナム

月餅の出店=ベトナム

 私がベトナム・ハノイ市へ赴任して約10カ月がたちました。ベトナムでの生活を通じて、ベトナムと日本におけるさまざまな文化の違いを感じてきましたが、その中でも今回は、ベトナムの「中秋節」を紹介したいと思います。

 間もなく、旧暦8月15日の中秋節を迎えます。日本では「十五夜」という言い方が一般的かもしれません。今年は新暦10月4日が中秋節にあたります。ベトナムの中秋節は、かつては日本と同じように、お月見をする日でしたが、現在のベトナムにおいては、中秋節は子どものための日と認識されています。

 子どもの日とされるようになった理由は、かつて春から夏にかけて農作業で忙しく、子どもにかまってあげられなかった親たちが、その時間を埋めるための日として、中秋節を子どもの日としたのが始まりのようです。

 その後、1945年のベトナム8月革命により発足した政権が、子どもを大切にしているという姿勢を示すために、中秋節に子どもたちに宛てたメッセージを発表するようになり、子どもの日としての意味合いがより強調されるようになりました。

 中秋節の前夜である旧暦8月14日になると、各街区の公的機関が主催して、子ども向けイベントを行ったり、お菓子や飲み物などを振る舞ったりしています。また、中秋節が近づくと、街中におもちゃ屋や風船屋などが出店し、数多くの店が軒を連ねるようになります。通りは家族連れでにぎわうようになり、この日ばかりは子どももおもちゃをおねだりするようです。

 一方、ベトナムの中秋節には、中国と同じように、月餅を食べる習慣があります。ベトナムでは、月餅は中秋節に家族で食べるほか、会社の取引先や大切な人など、お世話になった方へのプレゼントにもなります。日本でいうお中元が近いでしょうか。毎年、9月上旬になると、街のあちらこちらで月餅屋が出店し、人々が月餅を買い求める姿を目にするようになります。

 月餅の中身については、緑豆やハスの実の餡(あん)などの甘いデザート系のものから、豚肉やエビなどが入ったおかず系のものまで幅広くあり、中にはドリアンやフカヒレが入った変わったものもあります。伝統的なものでは、餡の中にアヒルの卵の塩漬けが入っており、これは十五夜の満月に見立てられていますが、味については好き嫌いが分かれるようです。今後も、ベトナムの文化を直接体験し、ベトナムのことをより深く理解することで、現地での活動に生かしていきたいと思います。

【伊藤信介さん】
写真:伊藤信介さんさん
 伊藤信介(いとう・しんすけ) 2006年十六銀行入行。岐阜・愛知県内の営業店勤務を経て、16年11月からベトナム投資開発銀行(BIDV)へ派遣(法人営業部所属)。愛知県豊川市出身。

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