ふるさとへの便り

ジンバブエ

柔道普及へサポート
写真:孤児院での巡回指導の様子=ジンバブエ

孤児院での巡回指導の様子=ジンバブエ

 皆さん。ジンバブエという国を聞いたことがあるでしょうか? アフリカの南部に位置しており、雨期や乾期はあるものの年間を通して過ごしやすい気候です。かつてはイギリスの植民地で、白人の技術を取り入れた農業などで輸出産業が潤っていました。しかし、2008年にハイパーインフレーションが起き経済状況が不安定となりました。現在は現金不足問題により現金を求めて銀行には多くの人々が列を作っています。

 このような状況の中、この国には日本生まれの柔道が広まりつつあります。私はジンバブエ柔道協会の活動をサポートし、子どもから大人、素人からナショナルチームまで幅広く指導をしています。写真はある孤児院での柔道指導の様子です。柔道といえば、白や青の道着と帯ですが、彼らは持っていません。しかし、私が道場へ入ると、きちんと整列し「SENSEI」と私を呼び、一礼します。

 ここで教えている指導者は、私に対して「ごめんなさい。彼らは柔道着を持っていないですから」と謝ります。確かに、日本では「しっかりと組みなさい!」というように襟や袖の握り方を教えるのがセオリーですが、ここではそんな理屈は通用しない。「持て!」と言っても持つ所がない。

 しかし、柔道には道着を持たなくても投げる技はある。持つ所を変えて投げる方法だって、工夫次第でいくらでも考えられる。私は現地の指導者と相談しながら、彼らへの指導方法を模索しています。道着がなくても、畳がなくても、彼らが取り組んでいるものは紛れもない「柔道」です。

 子どもたちの夢はいつかあの道着を着て、黒帯を締めて、畳の上で試合をすること。目を輝かせ、私服のまま取っ組み合う彼らに、私は柔道の奥深さを教えられました。私は道着を寄付するつもりはありません。なぜなら、ジンバブエにある柔道はジンバブエ人によって育てられているからです。日本生まれの柔道にさらなる可能性を感じることができたことに感謝しながら活動を進めています。

【藤原巧さん】
写真:藤原巧さんさん
 藤原巧(ふじわら・たくみ) 教員勤務を経て、2016年6月27日から青年海外協力隊としてジンバブエへ派遣。柔道協会に所属し、各道場の巡回指導を行っている。岐阜市出身。35歳。

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