ふるさとへの便り

ドミニカ

“教員の卵”を育てる
写真:同僚の授業で、概数記号の表し方の違いについて意見を交わす様子=ドミニカ

同僚の授業で、概数記号の表し方の違いについて意見を交わす様子=ドミニカ

 私はここドミニカにおいて、ちょっとした有名人です。その秘密は、名前が「Mami」だから。スペイン語で「お母さん」という意味のほかに、親愛を込めた呼び掛け言葉としても使われるため、すぐに覚えてもらえます。今では、よく利用するスーパーの店員さんや、毎日おしゃべりをするguineo(バナナ)露店商のおじさんなど、顔馴染みが増えました。「あいさつを交わしたら家族みたいなものさ」という愛情深いドミニカの人々に支えられて、活動を続けることができています。

 私の配属先は、第2の都市サンティアゴ市にある教員養成校です。学生の大半は掛け算、割り算、分数が正確に解くことができないという学力レベルのため、基礎的な数学の授業が必須科目になっている現状です。この14カ月間、いつも考えてきたことは「学生の興味を引くには、どうしたら良いか」でした。

 年中真夏の気候であり、食べることが一番大事なドミニカ人にとって、時間や計画はあってないようなもの。しかし、そんな彼らを注目させ、少しでも数学が面白いと思ってもらうために、私はここに来たのだと考え方を転換しました。

 日本の家族に、岐阜の観光地のパンフレットを送ってもらい、それを見せながら、四季や伝統行事、祭りについて紹介をすると、大盛り上がり。雪が降らない国に住み、新年はバチャータやメレンゲと呼ばれるダンスを夜通し踊って祝う彼らに、日本の冬や正月を説明するのは難しくもあり、興味深い経験でした。餅つきの動作をまねた後、餅の数を計算する問題に取り組むと、集中して解くことができていました。

 同僚とは「日本の数学との違い」について話し合うことがあります。先日は、概数の捉え方や表し方が、日本とは異なり、戸惑いました。数学は、生活と密着して存在するものであり、国が違えば数学の教え方も形を変えるのだと知り、また一つ新しい発見と驚きを得ました。

 現在は、教育実習生とともに小学校を訪問し、授業観察をしています。未来の教員の卵たちの頑張りを見ながら、実習生の授業がより良くなるように、自身ができることを焦らず、諦めずにやっていきたいです。

【村瀬真未さん】
写真:村瀬真未さんさん
 村瀬真未(むらせ・まみ) 教員を経て、ドミニカに派遣。教員養成校で学ぶ18〜25歳の学生に数学を教えたり、教育実習生に帯同し、教授法や学級運営について助言を行ったりしている。岐阜市出身。30歳。

「ふるさとへの便り」一覧