ジャポネス・ガランチード 岐阜からブラジル移民100周年

(6)外国人の力生かせ

高齢化、人口減…課題多い日本
写真:(6)外国人の力生かせ

梱包作業に汗を流すアベ・ユミさん(右)=不破郡垂井町平尾、吉田木材

 県内には約1万人のブラジル人が住んでいる。リーマン・ショック直前のピーク時からは半分になったが、より地域に密着した暮らしを選ぶ人たちが増え、地域や企業も少しずつ変わってきている。

 テーブルの天板を製造する吉田木材(不破郡垂井町)。創業114年で、6代目社長の吉田晃子(38)は「こんなことになったのはたまたま」とほほ笑む。従業員約80人。3割が中国人実習生を含めた外国人。うち7人の日系ブラジル人を正社員として雇用する。フィリピンやタイ人の正社員もいる。多国籍軍の状態だ。

 きっかけは一人の日系ブラジル人女性だった。アベ・ユミ(38)。18歳で来日した。大手家電工場や建材工場で働いてきた。妊娠・出産で仕事を辞め、次の職場を探していた。それが吉田木材だった。2006年、正社員として入社した。

 最初はアベも日本人従業員も戸惑った。アベは日本語は話せたが、初めての外国人正社員。アベも日本人だけの職場は初めてだった。

 アベは素直であることを心掛けた。「間違ったらごめんなさい、と言うことを忘れなかった」。うそは絶対につかないようにした。自分自身を偽らずに見せようと努力した。しばらくして、先輩の女性社員が自宅へ遊びに来るよう誘ってくれた。一生懸命働く姿を認めてくれた。信頼を得た。「すごくうれしかった」。

 同社で働く日系ブラジル人は来日して20年だったり、岐阜で育ったりした若者。みんな岐阜に根付いた人たちだ。

 吉田は、彼らが会社のチームワークを良くしていると考えている。日本語の細かいニュアンスが伝わらないこともある。しっかり話さないと伝わらないから、コミュニケーションが自然に増えるのだ。「社員一人一人の成長が会社を成長させる」と吉田は強調する。

 ダイバーシティという言葉がある。日本語では「多様性」と訳される。それぞれの違いを受け入れ、生かそうという考え方だ。

 ダイバーシティ研究所(大阪市)代表理事の田村太郎(42)は、「多様性の視点から見ると岐阜は面白い地域」という。外国人、女性、高齢者、障害者。社会的には弱者とされる人たちが活躍できる場をつくる。それが少子高齢化、人口減少といった岐阜の課題の一つの解決策になると提言する。

 「自然に外国人雇用を進めている吉田木材のように、肩肘張らず普通に受け入れて一緒に職場をつくっていくことが大事」。地域の外国人の力を借りる。これからの日本に必要な視点だと指摘する。

(敬称略)

=第1部おわり。第2部は7月下旬から掲載の予定です=