ジャポネス・ガランチード 岐阜からブラジル移民100周年

第2部 マルセロ(7)出会い 人生広がる

英語教師になった中学からの友人 
写真:"「マルセロと出会って人生が変わった」と話す佐合佑介=可児市広見、中部中学校"

「マルセロと出会って人生が変わった」と話す佐合佑介=可児市広見、中部中学校

 偶然の出会いや一言が渡辺マルセロ(34)の人生を変えたように、マルセロと出会って人生が変わった人もいる。可児市中部中学校の教師、佐合佑介(33)。中学1年生で会った日系ブラジル人の同級生がこんなに大きな存在になるなんて、本人はもちろん、誰も予想できなかった。

 2人は入学した美濃加茂東中で知り合った。気が合った。一緒にテレビゲームをした。マルセロは実際のサッカーはそれほどでもなかったが、サッカーゲームはうまかった。学校行事でおにぎりを用意しなくてはいけなかった。佐合の母が新しくできた友達の分も作った。マルセロは「あれはうまかったよ」と今も言う。

 別々の高校に進学したが2人の友情は続いた。佐合は英語教師を目指していた。マルセロのように、ブラジルから来日する生徒は増えていた。当時、サポート体制は不十分。もし将来、自分が英語教師になったときポルトガル語も話せたら、ブラジルから来た子は安心できるだろう。そう考えた佐合は、外国語大学のポルトガル語学科に進む。

 4年次にはポルトガルの名門大学に1年間留学した。留学中、ブラジルを一人で旅した。マルセロの古里、リオデジャネイロの海岸では少年グループにナイフを突き付けられ、金を脅し取られてしまった。ポルトガル語を選んだおかげで、いろんな経験ができた。

 教え子を見ていると時代の変化を感じる。今や日本人生徒にとって、外国籍の同級生がいることは当たり前になった。教室には普通に外国にルーツを持つ生徒たちがいる。全員ではないけれども、国籍や容姿ではなく、その人自身を見ようとするスタンスが自然に備わってきている。多様であることに少しずつ日本の地域社会がなじんできている。

 佐合は、マルセロに会わなくても英語教師になっていたと思う。でも、彼と出会ったからこそ、幅広い視野から物事を見ようとする姿勢が得られたと考えている。豊富な経験と広い視野は佐合の教師としての基盤になっている。中部中の幹部は「県内の英語教育のホープ」と期待する。

 人生を変えた友人とは最近会っていない。バーベキューに誘われても、仕事が忙しくて時間がない。だが、まったく心配していない。「彼はロングスパンで付き合う友人だから」。いい友がいる。それだけで人生は豊かになる。

(敬称略)