写真:渋沢栄一記念財団執行理事・渋澤健氏

「枠を超え、多様性を取り込むことが大切だ」と語る渋澤健氏=岐阜市長良、岐阜グランドホテル

◆テーマ「論語と算盤」で未来を拓く

 岐阜新聞・岐阜放送懇談会5月岐阜例会は23日、岐阜市長良の岐阜グランドホテルで開かれた。渋沢栄一記念財団執行理事の渋澤健氏が「『論語と算盤(そろばん)』で未来を拓(ひら)く」と題して講演。「枠の内側に留まるな、というのが栄一のメッセージ。企業の経営も外の視点を呼び込むことで枠内を活性化させ、枠を大きくできる」と語った。

 「日本の資本主義の父」と呼ばれる実業家渋沢栄一(1840〜1931年)の5代目子孫に当たる渋澤氏。第一国立銀行を設立した栄一の業績に触れ、140年余り前の日本で銀行はベンチャービジネスだったと紹介した。「銀行に集まってこない金は(中略)ポタポタ垂れている滴と変わりない」と訴えた同行の株主募集に注目し、「微力は無力ではなく、滴も集まれば大河になる。資本主義の原点だ」と解説した。

 論語と算盤の両立が栄一の持論。「論語か算盤という選別の『か』だけでは新しいことは生まれない。『と』の力はさまざまな利害関係者と関わる経営力そのもの」と分析した。

 豪農出身で尊皇攘夷(じょうい)を企てたものの、その後一橋家に仕えて幕臣となり、幕府のパリ万博使節団に加わり西洋文明の利用価値に気付いた栄一を「枠の中を出入りした」とたとえ、「過去の成功体験や固定観念の中で暮らすのは楽だが、内側の視点だけでは枠が小さくなっていることに気付かない」と警鐘を鳴らした。

 30年の長期投資を扱う会社コモンズ投信の会長も務めており、「つながりや環境、健康、社会的意義を重んじる若者の価値観に新たな繁栄の可能性がある。未来への期待、希望を集めれば共感という資本ができる」と力を込めた。