糖尿病は、膵臓(すいぞう)から出るインスリンというホルモンの分泌量が減ったり、働きが悪くなったりして慢性的に血糖が高くなる病気です。

 糖尿病は、1980年以前には日本人の2〜3%といわれていましたが、現在では約800万人以上と急増し、いまや国民病となりました。お隣の国、中国でも同じように急増し、成人の10人に1人が糖尿病で、インドを抜いて世界一の糖尿病大国になったそうです。

 糖尿病の合併症として以前からよく知られているものに、眼の病気(大人の失明原因の第1位)や腎臓の病気(血液透析になる原因の第1位)があります。しかし最近、糖尿病や糖尿病予備軍が心筋梗塞(こうそく)を中心とした、心血管疾患を引き起こす強力な危険因子であることが分かってきました。

 ひと昔前までは、高血圧が脳出血・脳梗塞などの脳血管疾患と、心筋梗塞などの心血管疾患の最大の危険因子とされていましたが、現在では、高血圧治療の良い薬が多数でき、脳血管疾患は着実に減少しました。それにもかかわらず、心血管疾患はそれほど減少していません。その原因が糖尿病および、糖尿病予備軍の増加にあると分かってきたのです。いまや血管病を引き起こす主役が高血圧から糖尿病、そして糖尿病予備軍へと移ってきたといえます。

 では糖尿病予備軍であることを、どのように知ることができるのでしょうか。

 「メタボリックシンドローム」はもうご存知ですか? 内臓肥満の目安としてウエスト周囲を測定し、高血圧、高血糖、高脂血などがあるかをもとに、基準を超えたものを指します。このメタボリックシンドロームと糖尿病予備軍とが密接な関係にあるのです。

 メタボリックシンドロームの人を見いだし、生活習慣を見直して糖尿病や心血管疾患にならないよう注意を喚起するために行われているのが、いわゆる「メタボ健診」です。メタボ健診は、ウエスト周囲を測ることを基本にしていますが、基準(男性85センチ以上、女性90センチ以上)以下であっても、ウエスト周りが太くなるほど、心筋梗塞などの虚血性心疾患の発生率が増加することが分かっています。

 最近、ウエストが気になりだしたという方は要注意と思ってください。

 (松波総合病院副院長(羽島郡笠松町田代) 総合内科医・村山正憲氏)