さて、今回は糖尿病と「がん」の関係をお話ししましょう。

 日本人の死亡原因で最も多いものは「がん」であることはよくご存じのことでしょう。その「がん」ができる要因の一番に挙げられるのが加齢です。一般的に55歳を超えると「がん」の発症が増えていきます。

 次に喫煙です。先んじて禁煙運動が盛んになった欧米では、既に肺がんを中心に男性のがん死亡率が低下してきています。日本でも喫煙率は低下してきていますが、男性では諸外国に比べてなお高く、特に働き盛りの30〜40代男性で最も高くなっています。女性の喫煙率はほぼ横ばいで、若い女性の喫煙率が増加していることも心配なことです。

 一方、肥満、メタボリック症候群、糖尿病と「がん」との関係はご存知でしょうか。

 世界がん研究基金は、肥満が食道、膵臓(すいぞう)、大腸、乳房、子宮体部、腎臓の各がんの発症リスク(危険性)を上げると報告しています。 

 メタボリック症候群は、閉経後の乳がんの発生リスクを高めることや大腸がん、子宮がんとの関連が報告されています。また日本の厚生労働省研究班報告によると、メタボリック症候群によって、肝臓がんの発生リスクが約2倍高くなるとのことです。 

 糖尿病においては、糖尿病患者は、そうでない人に比べて「がん」になるリスクが1・4倍高いことを愛知県がんセンターが報告しています。

 米国糖尿病学会のリポートでも、糖尿病と肝臓がん、膵臓がん、子宮内膜がん、大腸がん、乳がんは関連があること、糖尿病と「がん」の共通の危険因子に、加齢、肥満、食事や飲酒、喫煙などの不健康な食習慣、身体活動の不足などを挙げています。

 危険因子を回避するために、食物繊維の少ない食品や脂肪の多い食品を避け、動物性タンパク質の多い肉類の摂取を制限するなど食生活に留意しましょう。そして運動習慣を身に付け、早期発見のための検診を受けることが、糖尿病と上手に付き合い、がん死を避けるコツであろうと思います。

 (松波総合病院副院長(羽島郡笠松町田代) 総合内科医・村山正憲氏)