B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染し、肝臓の細胞が破壊されて肝臓の働きが悪くなる病気です。

 B型肝炎には、急性B型肝炎と慢性B型肝炎があります。HBVに感染すると、成人では急性肝炎となり、大部分の人は治療によって完全に治癒します。しかし、母子感染または乳幼児期に感染すると、HBVが持続感染した状態(HBVキャリア)となり、約10〜15%の人が慢性肝炎を発症します。治療を受けなければ、さらに肝硬変、肝がんへと進行していきます。

 さらに、従来は健康な成人に発症した急性B型肝炎は慢性化しないといわれてきましたが、近年、ジェノタイプA型と呼ばれる欧米型やアジア・アフリカ型といった外来種のHBVに感染すると、比較的高率に慢性化を起こすことが知られており注意が必要です。

 慢性B型肝炎の治療は、35歳を境目として変わってきます。35歳未満であれば自然経過でセロコンバージョンという状態が起き、肝炎の沈静化が期待できます。それでも活動性の肝炎が長期間持続する場合は、インターフェロン治療を行います。

 非常に効果が良い核酸アナログ製剤という抗ウイルス剤は、ウイルスそのものを死滅させるのではなく、増殖を抑える薬で、長期間服用する必要があります。また、胎児への影響が懸念されるため、妊娠の可能性があるこの年代では、重症の場合を除き使用を避けています。

 一方、35歳以上の場合は、核酸アナログ製剤が治療の主流となります。核酸アナログ製剤を1日1回内服すれば、ほぼ全ての人において血液中HBVが測定感度以下に低下し、肝機能は正常となります。このような状況が続けば、肝機能が悪化しないばかりでなく、たとえ肝硬変であっても肝臓が徐々に良くなっていきます。

 問題は、一度飲み始めるとやめるのが難しいこと、少数ですがウイルスが変異して薬が効かなくなることがあることです。

 核酸アナログ製剤が登場してから、慢性B型肝炎の予後は大きく改善されました。しかし、薬剤費が高額という問題がありました。最近、核酸アナログ製剤の医療費助成が始まり、治療が受けやすくなりました。自己負担限度額は、市町村民税が23万5000円以上で2万円、23万5000円未満で1万円となっています。

(岐阜市民病院肝臓内科部長 岐阜市民病院肝臓内科医・西垣洋一氏)