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肝臓内科医 西垣 洋一氏
以前は、肝臓が悪い場合には安静にしているほうが良いというのが通説になっていました。しかし現在では様子が変わってきています。
もちろん、肝炎の急性期や、腹水、黄疸(おうだん)がみられるような場合には、やはり安静が必要です。しかし、肝疾患の場合筋肉を維持することは大切で、病状が落ち着いている時には、運動は筋肉を維持するための重要な役割を持っています。
筋肉は第二の肝臓と言われ、肝機能が低下した場合には、糖、アミノ酸の代謝や血中アンモニアの無毒化を、肝臓に代わって行ってくれます。
同じように肝機能が低下しても、筋肉量が多いほど病態が軽く済んだり、その進行が遅かったりすると考えられており、筋肉量を維持することは大きな意味を持ちます。
また最近の食生活により、肝臓に脂肪が蓄積することが多くなり、肝機能をさらに悪化させる原因となっています。また肝疾患に糖尿病が合併することもまれではありません。運動は脂肪肝や糖尿病の予防にも有用です。
それでは筋肉量を維持するためにはどのような運動がよいのでしょうか。肝疾患に良いのは、有酸素運動と言われる運動です。有酸素運動とは、酸素を消費しながら、長時間続けることができる運動です。脈拍が1分間に110〜120を超えない程度の運動で、ウオーキング、ジョギング、サイクリング、水中運動等であり、運動の強さは、自分の能力の5〜6割程度、つまり軽く汗ばむ程度が良いとされています。毎日30分程度行うのが理想的です。
有酸素運動の中で、特にウオーキングは、過剰な運動になりにくく、膝への負担も少なく、道具も不要でいつでもできるため、最もお勧めできるものです。
反対の運動に無酸素運動がありますが、これは脈拍が1分間に110〜120を超える運動で、重量上げ、腕立て伏せ、短距離全力疾走など息を止めて行う強い運動です。この運動により産生された乳酸が肝臓で処理されるため、肝臓に負担がかかり良くありません。有酸素運動を続けることにより、筋肉量が維持され、肝疾患による症状も軽くなることがあります。あまり強すぎる運動は、肝機能を悪化させますが、適度な運動は肝機能には影響を与えないか、むしろ改善することが報告されています。
私たち人間は、やはり基本的に運動が必要なのです。無理をせず軽い運動を、毎日継続することが大切です。
(岐阜市民病院肝臓内科部長)
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