肝臓内科医 西垣洋一

 C型慢性肝炎に対する治療は進歩を続けてきましたが、それでも難治性とされる1b型の高ウイルスの患者さんでは、ウイルスが消失するのは約50%程度でした。

 そこで登場したのが、プロテアーゼ阻害剤と呼ばれる直接ウイルスの増殖を抑える薬剤テラプレビルです。これは、ウイルスの増殖に必要な酵素を阻害する作用を持ち、インターフェロンおよびリバビリンと併用することにより強力な抗ウイルス作用を発揮する飲み薬です。

 プロテアーゼ阻害剤・インターフェロン・リバビリンの3剤併用療法でウイルスが消失するかどうかは、治療前にある程度予測が可能になっています。われわれの遺伝子のうち、IL28bと呼ばれる部位がTT(メジャー)という型でかつウイルスの変異がない場合は、85%という高い確率でウイルスが消失することが分かっています。特にIL28bの遺伝子型を測定しメジャーであれば良好な治療効果が期待できるため、治療を行うかどうかの指標とすることができます。ただし、この検査はまだ保険が効かないのが問題点です。

 また過去にペグインターフェロンとリバビリン併用療法が効かなかった方で、治療終了時にはウイルスが消失しており、治療終了後にウイルスが再度出現した方の場合、治癒率は約90%となっています。

 このように、従来の治療法に比べ非常に治療効果の良い薬剤ですが、一方その副作用も強いようです。特に問題となるのは、貧血と皮膚障害です。今まで使用されてきたリバビリンも、内服すると徐々にヘモグロビンが低下し貧血が進行してきましたが、テラプレビルを内服するとさらに貧血が進みます。これにより途中で治療が中止となることが多いため、治療前のヘモグロビン値、年齢、体重などにより、テラプレビルやリバビリンを減量する必要があります。また重症の皮疹も時々見られるため、皮膚科専門医と連携して治療を行う必要があります。その他、腎機能障害、高尿酸血症、消化器症状(悪心、食欲不振など)がよく見られる副作用です。以上のような副作用のため、肝臓専門医が常勤しており、皮膚科専門医と連携ができる医療機関でしかこの治療を受けることができません。

 今後2、3年後には、副作用が非常に少なくさらに抗ウイルス効果の良い、次世代の抗ウイルス薬が登場する予定ですので、3剤併用療法を受けられるかどうかについては、主治医の先生とよく相談してください。

 なお、この3剤併用療法も医療費助成の対象となっており、治療が受けやすくなっています。

(岐阜市民病院肝臓内科部長)