岐阜市民病院肝臓内科医 西垣洋一

 昔から、肝臓が悪い時は高蛋白(たんぱく)・高エネルギー食が良いと言われてきました。これは本当に正しいでしょうか。

 肝臓に良い食事は、肝臓の状態によって変わってきます。慢性肝炎の場合は普通食で良いのですが、注意すべきことは、カロリーの摂(と)りすぎによる脂肪肝と鉄分の摂りすぎです。

 C型慢性肝炎の場合、脂肪肝や糖尿病を合併すると発がん率が高くなります。したがって、カロリーを摂りすぎないことが大切になります。また甘い物を制限する、脂肪を控える、食物繊維を多くとる、間食を控える、寝る前に食べないなどが、脂肪肝や糖尿病の予防に役立ちます。

 さらに、グリセミックインデックス(GI値)が高い食品ほど、太りやすいと言われています。GI値は血糖(ブドウ糖)値の上昇率を示す数値で、血糖値が上がりやすい食品ほど高い数値となります。数値が高いとインスリンの分泌が多くなり、脂肪が蓄積しやすくなります。

 GI値の高い食品としては、お菓子、砂糖類、イモ、パン、白米などがあります。低い食品としては、野菜、豆、きのこ、海藻、肉、魚などがあります。果物に含まれる果糖は、ブドウ糖ではないのでGI値は低いのですが、満腹中枢を刺激せず摂食抑制が起こりにくいため、過剰摂取となり肥満のリスクを高める可能性があります。

 また、C型慢性肝炎や非アルコール性脂肪性肝炎では、肝臓の炎症に伴い肝臓に鉄分が沈着しやすくなります。鉄分が多く沈着すると炎症が強くなり、肝臓がんも発生しやすくなります。そこで日頃から、鉄分を摂りすぎないよう注意することが必要になります。

 鉄分を摂りすぎないためには、どのような食事に気を付けたらよいのでしょうか。食事に含まれる鉄には、肉や魚などの動物性食品に含まれているヘム鉄と野菜や海藻に含まれている非ヘム鉄があります。吸収率はヘム鉄のほうが断然高く、動物性食品に注意する必要があります。すなわち、魚、肉は、赤身や内臓に吸収の良い鉄が多いため控え、白身魚やイカ、タコ、エビ、鶏肉を中心とするのが良いでしょう。その他、乳製品、卵白、野菜、果物、イモ類は鉄分が少なく、卵黄、豆類、海藻類、貝類は鉄分が多いようです。また、調理の際鉄なべを使用すると、なべの鉄が料理に溶け出すため使用は控えたほうが良いでしょう。

 高蛋白・高エネルギー食は、急性肝炎には良いのですが、慢性肝炎には当てはまらないようです。

(岐阜市民病院肝臓内科部長)