岐阜大学皮膚科医 水谷陽子

 暖かくなり、日差しが強くなってきました。皆さん、紫外線対策は万全ですか? 紫外線対策が必要なのは、夏だけではありません。実は紫外線は一年中地表に降り注いでいますが、線量は春先から急に増え始め、5月は夏場とほとんど同じ程度になります。紫外線は皮膚でのビタミンDの生合成を促しますが、1日15分ほど、適度な日差しを浴びる程度で十分な量のビタミンDが合成されます。

 日焼けするほど健康的だと思われていたのは昔の話で、現在は害の方が多いと考えられています。今回は、紫外線と皮膚障害についてお話ししたいと思います。

 紫外線にはUVA、UVB、UVCがあります。UVCはオゾン層で吸収されてしまうため、実際に問題になるのはUVAとUVBとなります。UVAは地表に届く紫外線の約95%を占め、ガラスを通過して皮膚まで到達するため、屋内でも窓際などでは注意が必要です。一方、UVBはガラスを通過しないため、特に晴天時に屋外にいるときに問題となります。

 では、紫外線による皮膚障害とは何があるのでしょうか。紫外線を浴び続けることによる代表的な皮膚障害は、短期的には日光皮膚炎(日焼け)、長期的には光老化(しみ、しわ)や皮膚がん(有棘(ゆうきょく)細胞がん、基底細胞がん、悪性黒色腫など)があります。紫外線による発がんはUVA、UVBによる細胞のDNAの損傷と免疫力の低下により生じるとされています。

 また皮膚がんの前駆症状として、日光角化症があります。顔や手、背などの露光部に表面がかさついた赤みとして出現し、外用剤を塗っても改善しない場合は、日光角化症の可能性があります。日光角化症を放っておくと、長い年月を経て皮膚がん(有棘細胞がん)に進展することもあるため、早期に診断して治療を受けることが重要です。

 幼少時に多く紫外線を浴びた子供ほど、後々に皮膚がんの発症率が高くなるという報告もあり、赤ちゃんの時からの紫外線対策が大変重要です。

 では紫外線対策とは、具体的にどのようなことをするのでしょうか。紫外線の量が増える午前10時から午後2時の時間帯は野外活動を控え、外出する際は帽子をかぶり、しっかりと日焼け止めを塗りましょう。日焼け止めはSPF15以上を目安に選びましょう。

(岐阜大学医学部付属病院皮膚科臨床講師)