岐阜大学皮膚科医 水谷陽子

 今回はこの時期に多い帯状疱疹(たいじょうほうしん)についてお話しします。帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で起こります。このウイルスに初めて感染すると水痘(水ぼうそう)になりますが、治った後にウイルスは知覚神経を伝わって神経節に潜伏します。それが疲れやストレス、薬や悪性腫瘍などの病気によって免疫力が低下すると、ウイルスが神経節の中で増殖し、知覚神経を伝わって皮膚に出てきます。片側に帯状に出てくるため、帯状疱疹という名前がついています。好発年齢は10〜20歳代と50歳以降となっています。

 症状は神経の分布に沿って左右どちらかにチクチク、ピリピリする痛みから始まり、しばらくして同じところに赤みが出現します。続いて小さい水ぶくれが多発し、2〜3週間で黒いかさぶたになって治ります。

 痛みはウイルスが皮膚に出てくるときに、神経を壊しながら出てくることで生じる神経痛が原因です。神経への障害が大きいと痛みも強くなります。神経痛は皮疹が出てくる数日前から現れることが多いですが、皮疹と同時か遅れて出てくることもあります。

 治療は抗ウイルス薬の内服を行いますが、重症の場合は、入院して点滴が必要になることもあります。患部は二次感染予防に抗菌薬の外用を行い、痛みには鎮痛薬やビタミンB12の内服を行います。痛みが激しい場合には、神経ブロックや副腎皮質ステロイドの内服を行うこともあります。

 帯状疱疹の合併症には、皮疹が治った後も神経痛が3カ月以上続く帯状疱疹後神経痛があります。目の近くの帯状疱疹では角膜炎や結膜炎を、耳介の帯状疱疹では同じ側の顔面神経まひや味覚・聴力の異常を伴うことがあります。また外陰部の帯状疱疹では、排尿障害を起こすことがあります。これらの合併症を予防するためには、早期に抗ウイルス薬を開始することが大切です。また重症化を抑えるには水痘ワクチンも有効です。ワクチンは自費ですが、皮膚科や内科の医療機関で接種できますので、ご相談ください。

 帯状疱疹にかかってしまったら、かさぶたになるまでは十分な栄養と休養を取りましょう。入浴はしてもいいですが、患部をこすってはいけません。水ぼうそうにかかったことのない子どもにはうつる可能性がありますので、かさぶたになるまでは接触は控えましょう。

(岐阜大学医学部付属病院皮膚科臨床講師)