小児科医 福富悌

 新年の幕開けとともに、インフルエンザに感染した人が多くなってきました。インフルエンザは、日本では毎年約1千万人、およそ10人に1人が感染しています。インフルエンザにかかっても、軽症で回復する人もいますが、高齢者では肺炎、子どもでは脳症など重症になることもあります。そのためインフルエンザにならないための予防が大切です。

 まずインフルエンザウイルスの感染経路については、飛沫(ひまつ)感染と接触感染の二つがあります。飛沫感染は、くしゃみなどでインフルエンザウイルスが空気中に広がり、そのウイルスを吸い込んで感染します。学校や満員電車など人混みは注意しましょう。

 接触感染はくしゃみや鼻水を手で押さえ、その手で何かに触るとウイルスが付着し、さらにそこに別の人が触れることで、ウイルスがその人の手に付着し、口や鼻から侵入して感染します。ドアノブ、手すり、スイッチなどは多くの人が触れるため、感染のリスクも増えます。手洗いをこまめにしましょう。

 インフルエンザは免疫力が弱っていると、感染しやすく症状が重くなってしまう恐れがあります。普段から、十分な睡眠とバランスの良い食事を心掛け、免疫力を高めておきましょう。

 古くから風邪の予防にはネギなどの食べ物が良いとされ、インフルエンザ予防に効果的とする報告もありますが、漢方薬にもウイルス感染に効果的なものがあります。補中益気湯には、昨年ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典東京工業大栄誉教授が解明した、細胞が自分のタンパク質を分解してリサイクルする「オートファジー(自食作用)」を増強する効果があるため、ウイルス感染を予防する作用が認められています。

 最近インフルエンザの治療で、麻黄湯が知られるようになってきましたが、ウイルスの増殖を抑えることから予防効果も期待できます。また子どもでは、脳症の予防効果も考えられています。風邪の初期に用いられる葛根湯(かっこんとう)も良いでしょう。

 インフルエンザは、20〜30年ごとに世界的な大流行を繰り返すので注意しましょう。もし感染した時は、医療機関を早く受診しましょう。

(岐阜市安食、福富医院院長)